研究課題/領域番号 |
16K00039
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宮田 敏 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (60360343)
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研究分担者 |
坂田 泰彦 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (90379206)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | コホート研究 / ネットワーク解析 / 構造方程式モデリング / 関数データ解析 / 慢性心不全 / アンケート調査 |
研究実績の概要 |
本研究では,東北心不全協議会に参加する東北大学を含む24基幹病院において登録された10,219名の慢性心不全および心不全高リスク患者の前向きコホート研究(CHART-2研究)のデータを用い、時間経過を考慮した心不全裡クス要因のネットワーク解析を行う。本コホートでは日常の診療履歴の他、臨床検査による検査数値、投薬履歴、費薬物治療履歴、心疾患その他の疫学データの収集を継続し、死亡、心不全入院その他のイベント登録を継続している。本年度は,登録時から5年次までの検査データとイベントに関して、医師、CRC (clinical research coordinator) による確認作業が完了し、コホートの経時データの観察と解析が可能となった。このデータを用い、昨年度以来研究を継続している「ベイズ構造方程式モデリング」の実データへの当てはめを行った。また、他の解析手法として、1)経時データを関数データ解析 (functional data analysis) として解析し、主成分データ解析を行う関数主成分分析 (functional principal component analysis) を用いたデータの層別化とリスク判別の研究、および2)打ち切りを伴う生存時間データをアウトカムとし、経時データを混合効果モデル (mixed effect model) によってモデル化したJoint modelによる解析の研究も開始した。その結果、無症候性のStageAB患者を対象とした解析で、左室駆出率 (LVEF, left ventricular ejection fraction) の関数データによる主成分分析で、心不全入院のリスク判別が可能であることを見いだした(未発表)。 今年度は、CHART2研究の医学的側面を検討し、5編の研究論文として発表するとともに,多数の学会において報告した。また、CHART-2研究の研究主体である東北心不全協議会の第28,29回総会を開催し,研究の進捗を報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CHART-2研究は,2006年の開始以来11~13年目に入っているが、検査データおよびイベント情報の収集とデータベースへの登録は順調に進行中である。死亡、心不全入院などのイベント情報はほぼ100%捕捉し、合併症等の整合性確認も行っている。各年次の検査数値などの疫学データについては、登録時から5年次までの分について医師、CRCによる確定作業が完了し経時データの利用が可能となった。CHART-2研究の医学的検討については、本研究に参加する循環器内科医の協力の下、データ解析と研究および論文発表が順調に進捗している。 本年度は、確定した経時データとイベント情報を用い,実データを用いた解析を開始した。当初予定通りにベイズ構造方程式モデリングによる解析を行うとともに、関数データ解析による経時データの解析とそれを用いた層別とリスク判別の研究も行った。
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今後の研究の推進方策 |
CHART-2研究のデータ登録は,引き続き粛々と遂行する。データ入力に際しての論理チェック、異常値の抽出、各種データベース統合を行うためのプログラムを,統計解析ソフトRを用いて構築する。これにより、データ入力の効率化と異常値の発見と修正を図る。 CHART-2研究の医学的検討と解析については、引き続き研究に参加する循環器内科医との協力の下、論文作成と学会報告を行う。 生存時間をアウトカムとし、経時データを共変量とするネットワーク解析手法については、昨年度以来研究を進めたベイズ構造方程式モデリングの他、関数データ解析を用いた関数主成分分析によるリスク層別化、および混合効果モデル (mixed effect model) による経時データのモデル化を用いたJoint modelingによる解析も行う。それに伴い、シミュレーションおよび解析手法の実装のためのプログラム開発と、研究発表に向けた論文作成も行う。 開発したモデルをCHART-2研究のデータに適用し、慢性心不全の病態解明につなげる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は計画通り進捗したが、効率的に実施することができ、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、平成30年度の助成金と合せて、旅費および消耗品費として使用する計画である。
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