研究実績の概要 |
本研究では, 多変量解析とくに, 主成分分析, 多変量回帰分析, 判別分析, 正準相関分析, 多変量逆回帰分析, などにおいて, 目的変数や説明変数が標本数とともに大きい場合における変数選択法と次元推定法に関して研究することを目的としている. 具体的には, (1) AICやCpなどの情報量規準を高次元の場合へ拡張し, それらの性質を解明する. (2) 罰則付最適化法に基づく変数選択法を開発し, 修正モデル選択法との関係を解明する.(3) 得られた結果を数値実験により検証し, さらに実データへの応用に取り組む. 30年度の主要な成果は, (T-1)主成分分析における有意な主成分の個数の推定, (T-2)多変量回帰モデルにおける説明変数の選択と次元の推定問題, (T-3)判別分析における変数選択問題, (T-4)多変量回帰・正準相関分析における次元の推定, と関係している. (T-1)に関しては, 主成分分析における有意な主成分の個数に関するAICとBIC規準について, 高次元一致性をもつための十分条件を与えている. この成果は, Ann. Statist.に掲載されている. (T-2)に関しては, 多変量回帰モデルにおいて, 一般共分散行列および簡単な共分散構造をもつ場合について, 選択変数が大きい場合にも実行可能な一般化一つ取って置き法を提案し, その高次元一致性を示した. これらの結果は投稿中である. (T-3)に関しては, 各変数の有意性規準に基づく新たな規準, および, それと同等な一つ取って置き法を提案し, 高次元一致性を示した. なお, 本研究の期間中には, 高次元多変量回帰モデル, および, 一組の変数が高次元である正準相関分析において, 次元推定のための情報量規準の一致性を示している. また, 数値実験による検証も実施し, 新たな知見も得ている.
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