研究実績の概要 |
本研究は,検証的臨床試験において統計学的な仮説を証明するために必要となる被験者数の収集が,希少疾患や小児であるため極めて困難であるSmall Clinical Trials(SCTs)に対して,分析感度を保証しつつ,治療効果を科学的に証明する革新的な試験デザインの検討およびそのデザインにおける解析方法,サンプルサイズ設定および評価方法とその妥当性についての開発・提案を行う目的である. H28年度から(1)既存のSCTsの調査・把握,(2)SCTsの試験デザイン・評価手法の構築,(3)提案法の性能評価,(4)現実への適応可能性の4つのステップに基づいて,研究を遂行している. H29年度は,SCTsに関する公表文献や医薬品の承認情報から試験デザインの実態調査を行い,Network Meta-Analysisを用いた新たな臨床試験デザインと評価方法の理論構築を検討した研究成果を国際学会にて報告した. 最終年度であるH30年度は,SCTsを含め臨床試験の中でも重要な試験デザインである非劣性試験デザインについて,効果がないにもかかわらず非劣性と判断される(無効同等)ことを避ける評価方法の1案として,プラセボ群を含めた3群での非劣性試験デザインに関する新たな評価方法及びサンプルサイズの設計に関する論文がPharmaceutical Statistics, vol.17(5)で公表されるとともに,提案する試験デザインに必要なサンプルサイズのプログラムを構築し研究室のHPにて公表した.また,昨年度に検討したNetwork Meta-Analysisを用いた臨床試験デザインについて,より最適な評価方法と問題点を整理し,ISCB2018及びIBC2018でそれぞれ研究成果の発表を行い,間接効果による分析感度の保証に関する方法の提案をした.
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