研究課題
食事パターン抽出法の開発について、さらに深く考察を行った。これまで開発を進めている方法と並行して、再度縮小次元回帰の方法を吟味し、その問題点の解決を考えた。バイオマーカーを事前情報として縮小次元回帰を用いた場合の問題点として、そのアルゴリズムにおいて各事前情報に対し線形のモデルを仮定しているところが不自然であり、結果的に得られる食事パターンの事前情報の説明率が低くなっていると考えた。その問題点を解決するためには、層別逆回帰法が有用であると考えられた。そこで縮小次元回帰のアルゴリズムを改良し、層別逆回帰を導入した食事パターン抽出法を考え、実データへの適用を行った。層別逆回帰では応答変数の値の大きさで層を作る必要があり、層の数を指定しないといけない。層別逆回帰を提案した論文(Li(1991))では、層の数は結果に大きな影響を与えないとあるが、実際の徳島大学の栄養データに適用したところ層の数の設定により抽出される食事パターンは大きく異なり、結果的に疾患発症への影響度合いも異なっていた。アイデアとしては面白いのであるが、食事パターンの抽出法としてはさらに検討が必要なことが分かった。またこれまで開発している方法についても、以前解析したデータとは違うデータでも良い結果を得ることができるか確認した。具体的には2010年健診受診者の6年追跡データセットを作成し、手法を適用した。その結果、このデータでも開発している方法は疾患発症と関連する食事パターンを抽出することができ、有用であることが示唆された。運動疫学データでは、3年間の間隔をあけて2時点で加速度計を用いて測定された身体活動データを解析し、3年間での個人における身体活動習慣の変化を明らかにし、その結果の論文化を進めた。
2: おおむね順調に進展している
方法論の開発も順調に進むとともに、データの整備も進んだ。本研究の特徴である方法論の開発であるとともに、疫学研究としても一定の結果を出すという目的に向けて、順調に進んでいる。分担研究者の先生方とも緊密に連絡を取れており、本研究はおおむね順調に進んでいると考えている。
今年は開発した方法の論文化を進めるとともに、徳島大学の栄養疫学データおよび九州大学の身体活動疫学での実際の疫学研究も推進し、疾患発症に関連する食習慣や身体活動習慣の研究を進めていく。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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