研究課題/領域番号 |
16K00067
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研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
川崎 能典 統計数理研究所, モデリング研究系, 教授 (70249910)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ボラティリティ / 経験類似度 / モデル信頼集合 / スパース正則化 / 円滑閾値型推定方程式 / 対数死亡率 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、応募者がこれまで取り組んできた円滑閾値型推定方程式によるスパース正則化法の方法論を、時系列解析の諸問題に水平展開することである。事例候補のひとつに、多変量ボラティリティモデルでの変数選択があり、今年度は昨年度に引き続き経験類似度 (ES、 Empirical Similarity) に基づくボラティリティモデルの予測性に関する研究を行った。 今年度の研究では,経験類似度モデルから得られたボラティリティの予測値とその他時系列モデルの予測値とを実証的に比較した。モデルの予測力比較については,誤差関数に基づくモデル信頼集合 (Model Confidence Set、 MCS) を用いることにより,複数の銘柄と推定予測期間におけるモデルの予測力を順位付けし,最良モデルの累積頻度を分析し評価を行った。成果は和文誌「統計数理」65巻1号(査読有り)に掲載された。 この内容は、国際会議 Joint Statistical Meeting 2017 (ボルチモア、米国、2017年8月2日)、国際会議 CEQURA Conference 2017 on Advances in Financial and Insurance Risk Management(ミュンヘン、ドイツ、2017年9月25日)で口頭発表した。 この他、対数死亡率に対するLee-Carterモデルの残差に関し、高次元多変量時系列モデルをあてはめる予備的な研究を実施した。結果、生年の順序という構造を利用して、同時応答を含む形で単一方程式ベースの推計を行い、その際にパラメータに対してスパース正則化を課すアプローチからは、興味深い構造が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高次元のボラティリティモデルだけでなく、今年度は高次元多変量自己回帰モデルに対するスパース推定にも取り組むことができ、前年度の遅れを取り戻した。研究発表に関しては、雑誌論文は比較的生産性高く、研究発表も多数行えた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に掲げた応用事例に対して一定の結論を出すべく、これまでの研究成果の延長線上に位置する課題を解決してゆく。対数死亡率のモデリングに高次元多変量時系列モデルの解析結果を組み込むことが、モデルの短期的予測力に向上に資するかどうかを検証する。
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