研究課題/領域番号 |
16K00070
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
安藤 秀樹 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (40293667)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 計算機アーキテクチャ / マイクロプロセッサ |
研究実績の概要 |
現在のプロセッサでは、高い性能を達成するため、命令をプログラム順ではなく、実行できる命令から順不同で実行している。この役目を果たしているハードウェアが発行キュー(IQ: issue queue)である。できるだけ高い性能を発揮するには、IQにおいては、古い命令ほど高い優先度で選択することが良いことが知られている。しかし、IQ内の命令は一般に古さにおいてランダムに並んでおり、低遅延、低電力で選択することが難しい。本研究の1つのテーマは、この問題を解消する方式を提案することである。 本年度は、昨年度作成したアーキテクチャ・シミュレータおよび回路シミュレータを使い、詳細にシミュレーションを行い、方式をより具体的に決定した。そして、来年度初頭に論文を国際学会に投稿できるよう準備をした。 もう1つの研究テーマは、最終レベル・キャッシュ(LLC: last-level cache)の複数のアプリケーションでの有効利用方法の検討である。この研究では、アプリケーション実行の性能をほとんど低下させない最小のLLCサイズを見つけ、複数のアプリケーション実行環境において、総合性能を最大化することを目的としている。このために、キャッシュを小さくしたときのアプリケーションの性能がどれほど低下するかを実行時に推定する方式を検討している。 本年度は、アーキテクチャ・シミュレータがほぼ完成し、方式の問題点を洗い出している。現在のところ、SPEC2006ベンチマークの2/3程度で精度よく性能を推定できているが、残りの1/3で精度が低い。解決法を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度学生の研究室配属が0人であったため、研究のための人員がなく、研究を開始できなかった。今年度から開始したが、1年の遅れを完全には取り戻せないでいる。
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今後の研究の推進方策 |
IQの研究については、学会に論文を投稿し、受理されるよう努める。 LLCの研究については、問題点を早期に解決し、詳細な評価により方式を確定し、論文を投稿できるよう努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
LLCに関する研究を1昨年度から開始する予定であったが、学内の事情で学生配属がなく、開始できなかった。このため、研究に要する資金が残り、今年度に繰り越された。この繰越額が部分的に今年度も残った。 来年度は、研究を加速して進める。このために、コンピュータと出張旅費が多く必要であり、繰越額も使用する予定である。
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