研究課題/領域番号 |
16K00078
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
長名 保範 琉球大学, 工学部, 助教 (00532657)
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研究分担者 |
天野 英晴 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (60175932)
藤田 直行 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主幹研究員 (70358480)
中條 拓伯 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80217736)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | FPGA / ストリーム計算 / 高位合成 / 高性能コンピューティング |
研究実績の概要 |
2台のホストPCと、PCI Express(ホストインタフェイス)や高速シリアルリンク(FPGAボード間インタフェイス)で互いに接続された3枚のFPGAボードから成るFPGAクラスタのプロトタイプを構築した。このシステム上でホストやFPGA間相互でのデータの送受信の仕組み、および部分再構成を行う仕組みを実装し、基本的な性能評価を実施した。STREAM, STREAM2ベンチマークではホストとFPGAの間で双方向約2.5GB/s、片方向約1.5GB/s、リモートのFPGAとの間では双方向1.3GB/s、片方向約650GB/sであった。後者については、FPGA間のリンク速度が6.25Gbpsであるための制約で、今後改善する予定である。また、このFPGA上のストリーム演算ユニットとして拡散方程式ソルバを実装し、最大で41.95GFLOPSの演算スループットを達成した。 また、Altera OpenCLを用いて、Arria10 SoC上のARMプロセッサとFPGAによる数値計算のアクセラレーションについても検討と実装を行い、Full-PIC法のシミュレーションでARMプロセッサに対して77倍、Xeonプロセッサの14.1倍の高速化を達成した。このアルゴリズムにはGPU等での並列化が困難な部分が含まれており、FPGAの適用による高速化の見通しがついたことは大きな成果であるといえる。 これらの実装はいずれも HDL (ハードウェア記述言語) による記述や、OpenCLへの書き換えなど、プログラミングに多くの手作業が必要であるが、Fortranソースコードからのデザインエントリを可能にするための合成ツールの開発も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IntelベースのマルチFPGAプラットフォームおよびARMベースのプラットフォームを開発し、今後のプロジェクトの推進に必要な要素技術の実装と初期の性能評価を行うことができた。ARMベースの環境ではOpenCLが動作しており、JAXAが開発したコードの移植も順調に進んでいる。IntelベースのマルチFPGAプラットフォームに関しては現状、HDLでの設計となっているものの、性能は充分に出ており、Fortranからの高位合成ツールも作業が進んでおり、市販のC言語設計ツールの導入も可能と考えている。以上のことから、プロジェクト全般に当初の予定通りの進捗である。
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今後の研究の推進方策 |
アプリケーションを実装するための基本的な環境は琉球大・慶應義塾大において初年度でほぼ整いつつあるので、これを用いて農工大で開発されているFortran高位合成系を用いた設計が可能になるように検討し、JAXAとも連携しながらアプリケーションの実装や性能評価を行う。また、この結果をフィードバックしながら、ホスト-FPGAやFPGA-FPGAの通信機構の実装にも手を加えて最適化を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年度末に琉球大で予定していた、JAXAと琉球大の研究グループの打ち合わせの日程が確保できなかったため、旅費の残高が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
2017年度にミーティングを実施し、この際に2016年度から繰り越した旅費を利用する。
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