研究課題/領域番号 |
16K00080
|
研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
市原 英行 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (50326427)
|
研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2020-03-31
|
キーワード | Stochastic Computing / Approximate Computing / 計算機システム / Dependable Computing |
研究実績の概要 |
デジタル回路で確率的に演算を行うストカスティックコンピューティング(SC)用回路の設計に必要な3つの要素技術とSC回路の設計に必要なコンピュータ支援設計(SC-CAD)に関する研究を行っている.本年度は3つの要素技術(1)~(3)の中で,(1) のSC回路の耐故障設計技術に関して研究成果を得た.具体的には,線形有限状態機械(線形FSM) に基づくSC 回路の耐過渡故障性に着目し,SC 回路の耐過渡故障性を向上するために線形FSM の状態をストカスティック数(SN) で符号化する手法を提案した.さらに回路規模の増加を抑えるために,線形FSM の一部の状態遷移を近似することで,状態遷移関数 を簡単化する手法も提案した.マルコフ連鎖による解析により,ニューラルネットワークなどで利用される双曲線正接関数を実現するSC 回路の耐過渡故障性を向上できることが明らかになった.この成果は電子情報通信学会のディペンダブルコンピューティング研究会で報告した. さらに,関連する派生テーマとして,SC回路の1つのアプリケーションであるSC回路に基づくニューラルネットワークの研究を行った.本研究では,積の正負分離とシグモイド関数近似を用いたSCに基づくニューラルネットワークに着目し,その演算精度について考察した.計算器実験によって,SCニューロンの演算精度に与える要因を明らかにし,ニューラルネットワークの認識精度に与える影響について議論した.さらに,その要因の影響を小さくするために,ストカスティック数を生成するために必要な乱数生成器の共有が有効であることを実験的に示した.研究成果はFTC研究会で報告を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は2つの要素技術について取り組み,一方の技術について一定の進歩を得ることができたため.また派生テーマに対しても成果を得ることができたため.
|
今後の研究の推進方策 |
要素技術(1)と(3)はさらに研究を推し進め,論文誌などの形でまとめる.また,派生テーマはさらに研究を続け,一定の成果を得る.要素技術(2)とCAD技術は本計画から除外し,次期の研究計画の一部として取り組む.
|
次年度使用額が生じた理由 |
理由:パソコンなどの物品購入,学生謝金による実験補助を予定していたが一部実施できなかったため. 計画:パソコンなどの物品購入,学生謝金による実験補助として使用する.
|