研究実績の概要 |
今年度は,提案しているLED照明とスマートフォンを連携させた盗撮防止技術を発展させた技術を開発した.当初の提案ではスマートフォン側にアプリ等を仕込む必要があったが,LED単体を臨界周波数以上の周期で点滅させる事で出現するフリッカノイズに注目し,これを撮影画像の劣化に用いた.その結果,このシステムを導入した撮影制限空間にてスマートフォンのカメラを起動させると,強制的に縞模様が発生し撮影画像を劣化させることができるのを確認した.更にこれは静止画,動画にかかわらず発生する. また,このフリッカノイズが効果的に出現するように,トイレを模擬した撮影空間を構築し様々なLED照明の配置から被写体までの角度等様々な条件で実験を行った.この実験では市販されている数種類のスマートフォンを実際に用意した.その結果,LED照明の利用的な設置位置やその照度,そして周波数等が分かった. 更に,撮影制限空間にて撮影された動画から撮影場所の位置情報や時間等が抽出できるようフリッカの幅と時間を工夫してバイナリデータを埋め込む技術を開発した.これは,万が一,盗撮等の行為が行われ,その動画がインターネット上にアップロードされた場合に,容疑者の特定につながる.よってアップロード行為そのものを抑止できるものである.プロトタイプシステムを構築して実験を行ったところ,埋め込んだデータを完全に取り出すことに成功した. 今年度の主な成果は,展示会出展3回,国際学会1回,国内学会2回,雑誌掲載1回である.
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