研究課題/領域番号 |
16K00100
|
研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
久代 紀之 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (50630886)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | モデル検査機 / 実行テスト / モデル検査機・実行テストの融合 / 試験ケース記述言語 |
研究実績の概要 |
非決定的要素を含むシステム試験の高効率化・高信頼化を実現するために、決定的/非決定的な試験ケースの実行が可能かつ実機あるいはエミュレータ上で動作が直接観察可能な統合的評価試験環境を構築する。2016年度は以下の項目を実施した。 (1)実行動作可能なモデル検査機の構築:ネットワーク接続用のドングルを介して、実機とのメッセージ交換ができるモデル検査実行環境(ソフトウェア)を構築した。さらに、左記モデル検査機用のソフトウェアエミュレータを開発し、ソフトウェアの内部イベントの交換ができるように拡張した。これにより、システム外部試験、プログラム試験の両方に対応できる実行可能なモデル検査を実現した。 (2)資産性の高い試験ケース記述言語の開発:試験ケースの資産性を向上するため、機能と試験対象システム構成を独立して記述可能とし、種々のシステム構成に対し、動的に試験ケースを生成する試験ケース記述言語の開発を行った。これらを用いてビル空調システムのシステム試験ケースを複数記述し、記述性を評価した。 (3)これら開発したモデル検査機および試験ケースを用いて、共同研究先のシステム試験を事例として、非決定的な試験ケースを実行し、非決定的な試験により、通常のシステム試験では抽出しにくいシステム不具合を再現できることを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に記載した初年度実施事項につき開発・評価を完了したことから。
|
今後の研究の推進方策 |
研究開発者である企業の研究者2名が、別組織(工場・間接部門)に異動となった。 一方で、開発した評価環境の実用性を高めるためには、実開発現場でのフィールド評価が重要であることから、これらフィールド評価を実施できる体制作りを、開発と並行して進めている。 現在、共同研究者が所属する企業のソフトウェア開発設計部門、および民生機器関連企業の評価部門と2件の共同プロジェクトを立ち上げ中である。これら共同プロジェクトを通じ、獲得した課題を、本評価環境仕様へフィードバックし、評価環境の実用性をさらに向上していく計画をたてている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(1)物品費:本年度に購入を予定していた物品に関しては、共同研究先の企業より同品の貸与があったため、購入を延期した。 (2)出張旅費:国際学会の2件を予定していたが、そのうち1件に関しては、旅費・参加費が企業から支給され、他1件に関しては採択されなかったため、今年度の支出はなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
(1)物品費:次年度はフィールド評価を当初計画より拡大し実施する予定であり、本年度購入予定の物品を含めて実フィールド評価機として利用予定である。 (2)出張旅費:次年度は、今年度成果の蓄積があるため、これら蓄積した成果を国内(2件)・国際会議(3件)に発表する予定である。また、2件の共同プロジェクトの調整のため、国内出張の回数も増加する。
|