研究課題/領域番号 |
16K00112
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
大西 淳 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (50160560)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 要求獲得支援 / シナリオを用いた要求獲得 / シナリオ分析 |
研究実績の概要 |
シナリオを用いたシステム開発では、高品質かつ多種のシナリオを用意する必要があるが、シナリオの再利用に関する研究は進んでいない。本研究では、既存のシナリオから機能単位で一部の機能を切り出し、シナリオ部品として抽出する手法やシナリオ部品をデータベース化して、部品検索と提供を可能とするシナリオ部品構築手法、ならびにシナリオ部品を組み合わせてシナリオを作成する手法を確立する。 平成28年度は、既存のシナリオから機能を抽出するためのガイドラインを明らかにし、一部の機能を抽出する手法を検討した。また抽出した機能をもとにしてシナリオ部品を構成する手法を提案した。さらにシナリオ部品の再利用性を高めるために、部品中の名詞の抽象化を公開されている語彙体系(シソーラス)を用いて支援する手法を提案した。 機能抽出のガイドラインとして、シナリオ部品を構成するイベント文数、イベント中の動詞の種類と数が、それぞれ一定の範囲内に収まっていることが有効であることを確認した。またシナリオ部品中の名詞の抽象度が低い場合(つまり具体的な名詞である場合)は再利用性が低下してしまう。一方抽象度が高すぎると(つまり抽象的な名詞であると)異なる概念同士が同じ抽象名詞になってしまう恐れがあり、誤ったシナリオを生成してしまう恐れがある。このため適度な抽象度を持った名詞を用いることが望まれる。提案手法では、日本語語彙体系で与えられる名詞の抽象度を用いることによって、名詞が適切な抽象度を有しているかどうかを判定する手法を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度はシナリオからの機能抽出手法と、再利用性を向上させたシナリオ部品作成手法の確立を当初の目標としたが、それぞれの手法については、ほぼ予定通りに提案することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、当初の計画通り、平成28年度に提案した手法に基づいたプロトタイプシステムの開発を進めるとともに、シナリオ部品の検索手法と部品を用いたシナリオの作成支援手法を提案する予定である。最終年度である平成30年度は開発した手法とプロトタイプシステムの評価と改善を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた研究旅費の一部を、他の経費で充当したため生じた次第である。
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次年度使用額の使用計画 |
国内旅費で使用する予定である。
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