研究課題/領域番号 |
16K00113
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
角田 雅照 近畿大学, 理工学部, 講師 (60457140)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | リスク認識 / 信頼 / リスクコミュニケーション |
研究実績の概要 |
ソフトウェアの定量的開発支援手法の普及をゴールとして,ユーザを考慮した手法評価フレームワークを確立することが本研究の目的である.今年度はユーザの心理的傾向と非常に関連のある,リスク認識と信頼について分析を行った. リスク認識:リスク認識にはバイアスが存在することが指摘されており,その影響によりリスクを正しく特定できない可能性がある.そこで,リスクをより正確に認識することを目的とし,開発者のリスク認識を明らかにした.スロビックの研究に基づいたアンケートによりリスク認識を定量化し,それを「恐ろしさ」と「未知性」の 要因に縮約した.分析では 人のソフトウェア開発者・研究者に対するアンケート結果を用いた.その結果,リスクの経験頻度により,そのリスクに対する「恐ろしさ」と「未知性」の認識が異なり,それが危険度の認識の差につながっていることが明らかとなった. 信頼:ユーザのデータ収集に対する協力態度に影響する要因を分析した.収集対象のデータとして,クラッシュレポート,アプリケーションの操作ログ,ソフトウェア開発の操作ログの3種類を想定し,21人の情報科学を専攻する学生にアンケートを行った.アンケートでは,各データ収集に対する協力姿勢と,協力姿勢の理由を選択してもらった.さらに,データ収集元の信頼度が高いと仮定した場合の協力姿勢の変化についても確かめた.その結果,データ収集へのユーザの協力姿勢を改善するためには,データ収集に協力した場合のメリットを明確に説明する必要があることと,データの収集元へのユーザの信頼度を高める必要があることがわかった. さらに,評価のために必要な手法(傾向スコア,イロレーティング),ユーザのソフトウェア開発支援に関するニーズ,ユーザの年齢の影響分析などについても,前年度に引き続き検討を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,ユーザを考慮した手法評価フレームワークの確立に対して,考慮が必須であるユーザの心理的傾向に影響する要因,すなわちリスク認識と信頼について検討を行うことができたため,順調に進展していると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
前年度に検討した手法評価に関する方法と,今年度検討した,ユーザの心理的傾向の要因分析結果を合わせ,ユーザを考慮した手法評価フレームワークの確立を目指す予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた日帰りの国内学会参加を1件行わなかったため,差額が生じた. 来年度の国内出張に割り当てる予定である.
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