• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実施状況報告書

生体データと作業履歴に着目したプログラム理解過程の分析

研究課題

研究課題/領域番号 16K00114
研究機関奈良工業高等専門学校

研究代表者

上野 秀剛  奈良工業高等専門学校, 情報工学科, 准教授 (70550094)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2021-03-31
キーワードプログラム理解 / 視線移動 / 脳波
研究実績の概要

去年度に開発した実験用システムを用いた被験者実験を行った.実験はプログラム理解タスク・デバッグタスクを被験者に与え,視線移動と脳波を同期して計測する.
プログラム理解タスクではソースコードと仕様,ソースコードを理解したか確認するための課題文を被験者に提示し,時間制限内に課題文に回答してもらう.デバッグタスクはプログラム理解タスク後に行われ,改変されたソースコードを提示する.被験者には制限時間内に改変後のソースコードが仕様を満たすか回答してもらう.
実験の結果,いずれのタスクにおいてもタスクによってアルファ波,ベータ波のパワースペクトルが増加していたが,タスクを正しく完了(プログラムの理解,またはバグ判断)できた時にアルファ波が有意に増加することが明らかになった.
また,プログラム理解タスクにおける視線移動と脳波を同期した分析を行った.視線移動からはすべての被験者でタスク開始と同時に問題文を注視し,その後,仕様とソースコードを交互に注視する動作が確認された.一方で,タスクの正否で比較すると正しく理解した被験者は仕様に対する注視の割合が早い時間で低下するのに対して正しく理解できなかった被験者は長時間にわたって仕様を注視する傾向が見られた.加えて注視割合と脳波の変化を時系列で並べると,ソースコードに対する注視割合が一定以上に達した時点からアルファ波が上昇を始めていることが確認された.
この結果は,脳波のパワースペクトルの変化がプログラム理解のプロセスと連動していることを示しており,変化の開始点を見ることで,プログラム理解の段階を外部から推定できる可能性を示している.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請時に提出した研究実施計画で予定していた作業をすべて期間内に完了した.

今後の研究の推進方策

今年度の実験で得られたデータについて詳細な分析を行い,結果を論文誌などに報告する.視線と脳波の同期分析によって,注視割合の変化が表す読みの段階と,脳活動の変化に関連があることが確認された.今後,視線移動について,提示した各文章を行単位で意味に基づいたラベリングを行い,読みの段階を詳細に分析すると共に脳活動との関連性を明らかにする.
また,同様のデータを用いて,視線と脳活動からプログラム理解の有無を推定する手法について開発を行う.視線移動や脳波,作業履歴からプログラム理解の状態を表すメトリクスを抽出し,プログラム理解の有無を機械学習により弁別する.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] Time Series Analysis of Programmer’s EEG for Debug State Classifcation2019

    • 著者名/発表者名
      Toyomi Ishida, Hidetake Uwano
    • 学会等名
      In Proceedings of the 5th Edition of the Programming Experience Workshop (PX 2019)
    • 国際学会
  • [学会発表] Synchronized Analysis of Eye Movement and EEG during Program Comprehension2019

    • 著者名/発表者名
      Toyomi Ishida, Hidetake Uwano
    • 学会等名
      Eye Movements in Programming workshop 2019 (EMIP2019)
    • 国際学会
  • [学会発表] プログラム理解時における脳波特徴の把握を目的とした時系列分析の試み2018

    • 著者名/発表者名
      石田 豊実, 上野 秀剛
    • 学会等名
      情報処理学会研究報告 ソフトウェア工学研究会

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi