研究課題/領域番号 |
16K00122
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
伊藤 嘉浩 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50335098)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | WebサービスにおけるQoE評価 / QoS制御 / MPTCP / SDN |
研究実績の概要 |
本研究は, HTTP/2 時代のWeb サービスを対象とし,次世代のトランスポート層プロトコルとSDNを活用したQoS 制御により,ユーザの体感品質(QoE)の向上させることを目的としている.特に本研究では,次世代のトランスポート層プロトコルとしては MPTCPを,SDN にはOpenFlowを対象としたQoS 制御方式を検討している.そして,被験者を用いた QoE 評価により提案方式の有効性を多面的に確認する. 本目的のためには,まずWeb サービスにおける QoE の定義とその評価方法を確立しなければならない.そこで,本研究では,システム評価の国際標準であるISO9241-11勧告に基づいたユーザビリティ評価をWebサービスに適用し,これをQoE評価とする方法を検討した.また,QoSの変化に対するQoEの変動をリアルタイムに測定するための方法として,人間の生体信号である筋電位を用いたQoEの評価方法も提案しこれを実装した.更に, Web サービスにおける QoE と QoS の関係を明らかにする必要もある.本研究では,前述のQoSとQoEの評価結果に対して,主成分分析,重い回帰分析およびパス解析などの統計的な多変量解析によりQoSとQoEを多面的かつ,ネットワークの持つ階層的な構造を考慮した分析方法を確立した.また,QoSとQoEとの関係を3次元空間上で可視化する方法を提案し,これを実装評価した. 以上の評価方法を用いて,様々な端末において,QoSの劣化によるQoEへの影響がどのように異なるかを調査した.そして,平均遅延と遅延ジッタがQoEに及ぼす影響を評価した. 上記を基に,WebサービスにおけるQoEを基にしたQoSの制御方式として,まず,経路制御がQoEに影響を評価し,IPv6ネットワーク上で,QoEを向上するための経路制御機構を提案した.この結果を基に,雑多なネットワーク環境において,MPTCPを用いた場合,経路制御がWebサービスにおけるQoSおよびQoEに及ぼす影響を評価した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は,Web サービスにおける QoE の定義とその評価方法に関して,国際会議で1件の発表を行った.また QoE と QoS との間の関係の評価においては,国際会議3件,および国内会議で1件の発表を行った. 次に,WebサービスにおけるQoEを基にしたQoSの制御方式として,国内論文誌に1件,国際会議に2件,国内会議で2件の発表を行った. 以上より,本年度までの進捗は概ね順調である.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度以降は,平成28年度までの内容を継続し,QoSとQoEの関係の調査,およびこの調査結果を基にしたQoSの制御方法の検討を進めていく.特に本年度は,SDNにおける成魚方法の確立に注力し,新しい成魚方法の提案等を行っていく.SDNにおける盛業方式は提案だけでなく実装も行い,情報通信研究機構との共同研究で利用しているJGN(Japan Gigabit Network)上での評価を行う. 以上で得られた成果は,国内外の学術論文誌,国際会議などで適宜報告を行っていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は,6824円の次年度使用額が発生したが,消耗品等で当該年度では必要としなかった分である.この額は,当該年度所用額の0.35%である.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額においては,平成29年度の実験における消耗品などで必要な場合に使用する.,
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