本研究は,HTTP/2 時代のWebサービスを対象とし,次世代のトランスポート層プロトコルとSDN(Software Defined Netwoking)を活用したQoS (Quality of Service)制御によりユーザの体感品質(Quality of Service; QoE)の向上させることを目的としている.特に本研究では,次世代のトランスポート層プロトコルとしては MPTCP(MultiPath TCP)を,SDN にはOpenFlowを対象としたQoS 制御方式を検討している.そして,被験者を用いたQoE評価により提案方式の有効性を多面的に確認する. 本研究では,まず,昨年度提案したSDNにより 既存のプロトコルを効率的に制御してWebQoEの向上を図る新しい方式(TCP multipathization method by SDN)をWebサービスに適応してQoSの評価を行い,その有効性を確認した.更に,本方式を拡張し,UDPに対応できる方式(UDP multipathization method by SDN)を提案,実装し,これを評価した.これらの実験結果を基に,経路間の遅延差が大きい環境において,遅延差による品質劣化を制御するための方式を提案した. 次にMPTCPのQoSを向上させるための輻輳制御方式とスケジューリング方式をを提案・実装し,実験によりその有効性を確認した.. また,上位層を支えるためのQoS制御技術として、無線LAN上で複数のWebサービスを利用した場合の最適な最大伝送速度の推定方式を検討した.更に,IEEE802.1を用いたQoS制御方式の評価を行なった. 更に,WebサービスのQoEを評価するための方式として,ディープラーニングによりユーザの顔が像からWebサービスのQoEを評価する方式を提案,実装し,実験によりその有効性を確認した.
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