研究課題/領域番号 |
16K00123
|
研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
梅津 高朗 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (10346174)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | スマートフォン / 環境センシング / ナビゲーション |
研究実績の概要 |
スマートフォンをセンサー端末として利用する応用事例について検討し、実装実験などで有効性を評価した上で、研究会などで成果を報告した。まず、ドライビングレコーダとして用いた場合の人流推定手法や積雪の影響調査手法について検討を行った。ここでは、車内から録画した動画データをCNN(畳み込みニューラルネットワーク)を用いて分析することで、周辺を歩く人の人数や方向を把握する手法を設計、実装した。実際に撮影した動画から学習データを作成し、別の動画を用いてどの程度検知が出来るかを確かめた。最終的には分析した結果を共有するなどして、都市街路などの混雑具合などを推定する事を目指している。積雪の影響調査に関しては、実際のプローブカー情報を用いて積雪が交通に与える影響を予測する手法を検討した。また、歩行履歴情報に基づくパーソナライズされた歩行者ナビゲーションシステムを作成した。ここでは、ユーザの体感や過去の移動履歴などを記録しておき、それらの情報から、より正確な到着時間の見積もりを行う手法を検討し、実装実験によりある程度の有効性を確かめた。また、環境センシングにおける利用などを考え、水質調査手法を検討した。まず、スマートフォンを定点カメラのような形で使い、撮影した画像を分析して得た水草の繁茂度合いから水質を推定する手法を設計し、びわ湖を対象に実験を行った。撮影したデータと一般に公開されている情報を照らし合わせ、実用性について確かめた。また、繁茂が問題となっている外来種の水草の分布を調査するための手法も検討した。こちらは、一般に公開されているLANDSAT衛星が撮影した画像データから、特定の種類の水草の繁茂状態を検出できるフィルタを用いて繁茂状態を調べる手法とした。びわ湖周辺で実際に撮影した写真データと比較し、手法の有効性を評価した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数の具体的な実装事例について検討を行い、それぞれについて研究会を通して成果報告を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
より広範な応用を念頭に置いて、スマートフォンへの追加のセンサー設置方法について検討を行う。温度、湿度、水質センサーなどの市場調査を行い、適度に安価な製品については購入し、データの読み取り方法について検討、実験を行う。また、野外環境向けのセンサーシステムについての検討を行う。まず、カメラから取得した画像・動画や、マイクから録音した音声データについて、データの圧縮、差分抽出、特徴量の導出など様々な典型的な処理を行うアプリを作成する。アプリは、入力されたデータに対するそれぞれの処理について、スマートフォン上で行うか、行わずにデータをそのまま保存するかを選択できるような構造で作成する。それぞれの処理について、行った場合と行わない場合のCPU負荷やストレージ消費量、バッテリーの消費など、データ処理に必要なコストと省いた際に追加で必要となるストレージ容量を計測する。また、使用環境の要件を定義できるよう、ストレージの容量、バッテリーの容量や外部からの電力供給の有無、データ回収方法などについて定式化を行う。計測したバッテリーの消費量などと、与えられた使用環境の要件から、線形計画などを用いて、どの処理をスマートフォン上で行わせることが最も効率的かを自動的に導き出す手法を確立する。その際、スマートフォンの機種毎に結果が異なることが予想できるため、さらに5台程度の異なる機種のスマートフォンを導入して実験を行い、その差異がどの程度であるのか、考慮する必要が存在するかどうかを確認し、差異を考慮に入れなければ効率的な手法にならないようであれば、事前のベンチマークなどで自動的に差異を吸収できるような手法を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
成果報告のための学会参加の計画変更に伴う旅費の変更など。
|
次年度使用額の使用計画 |
物品費に加え、必要機材の購入に用いる。
|