研究課題/領域番号 |
16K00130
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
鶴 正人 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (40231443)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | パケット消失回復 / 情報圧縮 / ネットワーク符号化 / 無線ネットワーク / SDN |
研究実績の概要 |
研究項目:(i)サーバ・中継・末端ノードが連携して圧縮・消失回復を制御する基本モデル、(ii)コンテンツ単体の特性だけでなく時間空間的なコンテンツ間の関係性も利用した圧縮・消失回復の具体的方式、(iii)経路の通信帯域や消失確率等を考慮した多様な経路と圧縮・消失回復方式の適応的調整、(iv)連携の実現に必要なサーバ・中継・末端ノード間の情報交換プロトコル。 (i)については、ネットワーク符号化付TCPを用いた消失回復制御手法をトンネルとして用いるTCP/NC Gateway開発(無線マルチホップネットワークへの適用)、独立クラスタ(島等)を含むVANETによるメッセージ転送における符号化位置の最適化やメッセージ長・符号化グループの最適化、大規模ネットワークでの1対多のファイル配布における転送ブロック割り当て最適化のための受信者間転送(ゴシッピング)などを研究し、シミュレーションで分析・課題抽出し、基本モデルを構築した。 (ii)および(iii)については、センサ数値列の時間相関を利用した内挿圧縮に関して、転送経路の帯域幅とパケットロス率に応じた圧縮・消失回復処理手法の性能改善を図ると共に、空間相関の利用への拡張(クラスタリングの多次元化等に基づく)を検討した。また、異種データのパケット詰め込みにおける公平性の問題を検討した。さらに、2方向マルチホップネットワークに最適スケジュールに関して、遠方干渉やリンク帯域の差異を考慮するよう拡張を行った。これらをシミュレーションで分析・課題抽出した。 (iv)については、SDNの枠組みで考えることとし、大規模ネットワークでの各リンクの状態監視(方向毎の特性)のための計測端末・中継スイッチ・サーバ(コントローラ)連携計測手法に関して、パケットロス率だけでなくパケット遅延変動も扱えるように拡張しシミュレーションで分析・課題抽出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(i)「サーバ・中継・末端ノードが連携して圧縮・消失回復を制御する基本モデル」では、ジャーナル論文(1)、査読付き国際会議論文(4, そのうちの1つはBest workshops paper award受賞)、国内研究会論文(1)で成果発表した。 (ii)「コンテンツ単体の特性だけでなく時間空間的なコンテンツ間の関係性も利用した圧縮・消失回復の具体的方式」および(iii)「経路の通信帯域や消失確率等を考慮した多様な経路と圧縮・消失回復方式の適応的調整」では、査読付き国際会議論文(1)、国内研究会(論文1、口頭発表1)で成果発表し、検討は進んでいる。 (iv)「連携の実現に必要なサーバ・中継・末端ノード間の情報交換プロトコル」では、外部発表はないが、卒論を通じて検討は進んでいるが、予定よりは遅れている。 以上より、でこぼこはあるものの、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度であるので、ここまでに得られた結果を基にし、できるだけ外部発表までも持っていくものと、次の研究のベースとするものを切り分けながら、また、学内外の研究協力者の意見も取り入れながら各研究項目を進めていく。なお、平成30年度4月からはドクタコース学生が1名入ったのでその力も有効に活用する。 (i),(ii),(iii)に関しては、計画通り進める。なお、検証のための実センサデータとして山間地区の温度・湿度などを取得予定である(農業応用を想定)。やや遅れている(iv)「ネットワーク連携に必要な制御プレーンとしてのサーバ・中継・末端ノード間の情報交換プロトコル」は、早急に基本的な枠組みを構築し、シミュレーション評価できるように注力する。 なお、データ種別に関して、(当初計画にあった)誤差を許容するXMLデータは、その誤差の定義を含めて応用に強く依存し、本研究課題の範囲での十分な検討は困難と判断し、数値列データに限定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
H30年度に必要な旅費(研究発表や検証のための実センサデータ取得実験)が増えることが予想されたため、物品購入に関して他用途の古い機器との共用などの工夫により節約し、予算を残した。これをH30年度の旅費増に充てる。
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