研究課題/領域番号 |
16K00133
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
長田 智和 琉球大学, 工学部, 准教授 (30372808)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | SDN / OpenFlow / 地域IX / コンテンツキャッシュ |
研究実績の概要 |
本研究開発では、まず、OpenFlowバージョン1.3系に基づき、SDNの広域ネットワーク展開の有効性を検証した。その結果、1.3系での展開は困難であることの結論に至った。具体的には、本研究ではSDNを広域展開することが前提となっているが、OpenFlowバージョン1.3系では、制御するネットワークの規模が大きくなると、コントローラへの負荷が増大し、結果的にネットワーク全体のパフォーマンスを向上させることが難しくなる問題があった。また、基本的にネットワークの全てのノードでSDN(OpenFlow)対応スイッチが必要となることから、コストの面で実現可能性に問題があると考えられた。 このため、現在は、1.4系以降のバージョンの拡張仕様を前提とした仕様策定を行っている。具体的には、1.4系で拡張された、イベントドリブン型のフローのモニタリング機能を活用することで、複数のコントローラ間でのフロー情報の共有負荷の軽減ができないか検討している。さらに、同じく1.4系で拡張された、動的にコントローラの役割を変更する機能によって、負荷の高いMasterコントローラを負荷の低いコントローラに動的に切り替えることができないかと考えている。さらに、OpenFlowでは(機種によって異なるが)登録できるフローの数に制限があるため、不要になったフローを随時削除する必要があり、特に、広域ネットワーク環境下では実効的に必要となるフロー数が大きいため、登録フローの効率管理が必須である。1.4系では登録フローの効率管理のための拡張も用意されており、この機能の活用を検討している。最後に、ネットワーク全体でSDN対応スイッチ化しなければならない問題については、OpenFlowバージョン1.5系で強化されたトンネリング機能を用いることで、既存ネットワークと併存しつつSNDを広域展開する方法を模索する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要に書いた通り、OpenFlowバージョン1.3系の機能を検証し、広域ネットワーク展開をする上での問題点を明らかとした。これにより、1.4系以降での仕様策定をする判断に至り、現在は1.4系以降のバージョンでの詳細仕様を策定中である。
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今後の研究の推進方策 |
前述の通り、当初予定していたOpenFlowバージョン1.3系をベースとした仕様策定について、前提とするバージョンを1.4系以降に変更することになったため、現時点ではやや進捗に遅れが出ている。この仕様策定を早急に進め、当初計画通り、平成29年度は、OpenFlowコントローラ開発フレームワークを使ったコントロールアプリケーションの開発を行う。また、先行研究で開発済みであるコンテンツキャッシュのパフォーマンス改善にも並行して取り組む。これによって、平成29年度は当初計画通りの進捗を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は主に旅費の支出について、他予算でカバーできる案件があり、他予算にて支出したために余剰が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、成果発表や調査のための出張(国内/海外)を当初計画より多く行う予定である。また、平成29年度は他の旅費予算がないことから、平成28年度の次年度使用額を平成29年度に使用させて頂きたい。
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