研究課題/領域番号 |
16K00140
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
桧垣 博章 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (70287431)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 無線センサネットワーク / 耐故障 / 耐攻撃 / 耐盗聴 / 無線マルチホップ通信 / プロトコル |
研究実績の概要 |
多数の移動無線ノードから構成される移動無線アドホックネットワークでは、移動無線ノードの故障、悪意のある移動無線ノードによる攻撃、盗聴に対して耐性を持つことが求められる。本年度は、理論的検討を中心とした以下の研究成果を挙げた。 (1) ビザンチン故障移動無線ノードの検出と通知: データメッセージの改ざんを行なう故障中継無線ノードを検出するウォッチドッグ手法を基礎として、誤った故障検出通知を行なう故障中継無線ノードを検出、特定し、故障通知を正しく行なう手法を考案した。ここでは、無線マルチホップ配送経路に含まれない連続する3ホップの中継無線ノードと隣接する監視無線ノードを各中継無線ノードに対して定めることにより、上記課題を解決する協調ウォッチドッグ手法を考案した。さらに、経路検出率の改善のために、監視無線ノードの充足するべき条件を緩和する手法を考案した。 (2) 送信電力低下時における改ざんデータメッセージ転送中継移動無線ノードの検出と通知: 従来手法が各中継移動無線ノードが定められた送信電力を常時用いることを前提としているのに対して、中継無線ノードの送信電力がバッテリー電力量の低下にともなう送信電力の低下や意図的な送信電力の低下がある環境においても故障中継無線ノードを検出、特定し、送信元無線ノードへと通知する手法を考案した。 (3) ノイズ無線信号の協調的送信によるデータメッセージ盗聴妨害: 無線マルチホップ配送されるデータメッセージをその存在を隠した盗聴無線ノードに取得させない手法を考案した。中継移動無線ノードの1ホップおよび2ホップ隣接無線ノードが協調的にノイズ信号を送出する。 また、これらに関連して、盗聴したデータメッセージ群を暗号解読のための高性能コンピュータへ配送することを妨害する手法、計算能力の低いコンピュータへ適用可能な暗号通信手法等に対する新しい研究の方向性を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各課題について、当初の計画に従った検討がなされ、一定の成果を挙げることができた。また、各課題が複合的に存在するシステムへの対処方法の検討、新しい課題の発見とその解決方法の検討への方向性が得られたことなど、理論的検討はおおむね順調に進展している。また、研究成果の適用にむけたソフトウェアの開発についても基礎検討が進んでおり、次年度に向けて、小型コンピュータデバイスにカメラを搭載して、近隣無線ノードをカメラ画像により検出する方法を提案手法の実現のために行なうことなどのプロトタイプシステム構築への準備も進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績(1), (2)については、これらを複合的に用いる方法の検討、提案手法の適用性の改善 (移動無線ノードが疎に分布する環境への適用) の課題を解決する。研究実績(3) については、1ホップおよび2ホップ隣接無線ノードによるノイズ無線信号送信の開始、一時停止、終了のタイミングを適切に定める手法の検討を行なう。また、今年度に方向性を見いだすことができた盗聴されたデータメッセージの配送を妨害する手法、配送された後に暗号解読コンピュータによる解読を困難にする手法についても検討を進める。さらに、環境の不安定さに対して耐性を持つ移動無線ノード位置取得手法、マルチメディアデータのような大量データの配送要求に対して耐性のある無線マルチホップ通信手法等の検討により、本研究課題の耐性を持つ移動無線センサネットワークの実現を目指す。なお、来年度以降では、提案手法の実装環境の構築を行なう。小型コンピュータデバイスに移動機能、カメラ取得画像に対する簡易な画像処理機能を備える予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験用小型コンピュータに搭載する移動機能、カメラ機能の実現のための部材の選定が遅れたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度前期に必要部材の購入に使用する計画である。
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