研究実績の概要 |
多数の移動無線ノードから構成されるアドホックネットワークでは, 移動無線ノードの故障, 悪意のある移動無線ノードによる攻撃, 盗聴に対して耐性を持つことが求められる. 本年度は以下の研究成果を挙げた. (1) ビザンチン故障移動ノードの検出と通知: データメッセージのマルチホップ配送時における故障無線ノードの検出と通知に加え, マルチホップ配送経路の探索, 検出時における故障移動無線ノードの検出手法を考案した. ここでは, GPSR等の無線ノードの位置情報を用いる経路探索プロトコルについて, ブラックホールノード攻撃を試みる無線ノードの偽装した位置情報通知制御メッセージを検出する手法を考案した. また, 実験により誤った配送経路を検出する可能性の高い偽装メッセージを高い確率で検出し, 検出に失敗する場合には偽装制御メッセージによる影響を受ける可能性が低いという良好な性質を備える手法であることを確認した. (2) ノイズ無線信号の協調的送信によるデータメッセージの盗聴妨害: 追加のノイズ信号による電力消費を低減する手法として, 並行転送送信されるデータメッセージが互いにノイズとして機能する配送手法を考案した. ただし, データメッセージ配送経路とデータメッセージ送信タイミングを独立に決定する手法であるために妨害効果の向上の余地があることが明らかになった. そこで, これらを同時に決定する手法としてのひとつのヒューリスティックを検討し, 実験により従来よりも妨害効果が向上することを明らかにした. (3) 故障耐性を持つ移動無線ノード位置情報取得手法: カメラ画像を活用することで, 簡易で精度の高い無線ノード位置取得を可能とする手法について実験評価を行い, その有効性を明らかにした. 提案手法では協調する3台の無線ノードのうち2台を一時停止するため, これを1台とする手法を検討した.
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