研究課題/領域番号 |
16K00142
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
榎戸 智也 立正大学, 経営学部, 教授 (10360158)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 情報システム / 情報通信工学 / 計算機システム / 省エネルギー / アルゴリズム |
研究実績の概要 |
仮想マシンを利用したクラウド・システムは,高い拡張性から分散システム構築のための基盤として広く利用されている.一方で,システムの大規模化,サービスの高度化・多様化,利用者データの大容量化に伴う消費電力量の増大が環境保護上の問題となっており,省電力化が重要な課題となっている.以上の理由から,本研究では,実サーバ上で稼働した複数の仮想マシンで各種応用プログラムを実行した場合の仮想マシンの計算モデルと実サーバの電力消費モデルを定義し,定義した計算モデルと電力消費モデルをもとに,クラウド・システムにおいて応用プログラムを実装した場合にシステム全体の消費電力を低減し,かつ応用プログラムの要求するサービス品質(QoS)を満たす仮想マシンを選択する負荷分散アルゴリズムを提案することを目的としている. 平成29年度は,はじめに平成28年度に定義した仮想マシンの計算モデルと実サーバの電力消費モデルをもとに各仮想マシンで要求された応用プログラムを実行した場合の応用プログラムの実行時間および仮想マシンの総稼働時間を推定するアルゴリズムを設計した.次に,推定された仮想マシンの総稼働時間と実サーバの電力消費モデルをもと実サーバの消費電力を推定し,要求された応用プログラムを各仮想マシンで実行した場合に応用プログラムが要求するQoSを満たし,かつシステム全体の消費電力を低減できる仮想マシンを選定する負荷分散アルゴリズムを設計した.また,設計した仮想マシンの総稼働時間を推定するアルゴリズムと負荷分散アルゴリズムの実装および動作検証を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書の平成29年度 研究実施計画に記載した「応用プログラムの実行時間および仮想マシンの総稼働時間を推定するアルゴリズム」および「システム全体の消費電力を低減するための負荷分散アルゴリズム」の設計,実装,および動作検証が予定通り実施できている.仮想マシンのマイグレーション機能を用いたさらなる消費電力低減策については,提案した負荷分散アルゴリズムの評価を実施したうえで検討する必要がある.よって,平成30年度に実施予定のシミュレーション環境での既存アルゴリズムとの比較評価を実施した結果をもとに導入の検討を行うこととした.平成30年度の実施予定のシミュレーション環境の構築および既存アルゴリズムとの比較評価について,予定通り着手できていることからおおむね研究計画通りに進展していると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は,研究実施計画通りに「システム全体の消費電力を低減するための負荷分散アルゴリズム」の設計,実装,および動作検証を完了することができた.よって,平成30年度は,平成29年度に設計および実装した負荷分散アルゴリズムの評価を実施する.はじめに,想定するクラウド・システム環境を用いて提案した負荷分散アルゴリズムを評価できるシミュレーション・システムの構築を実施する.例えば,すべての実サーバが同一の計算モデルを保持するサーバ・クラスタや異なる計算モデルを保持するサーバ・クラスタを想定するなど,パラメータの変更で想定するシステム環境を変更できるシミュレーション・システムを構築する.シミュレーション・システムの構築後,既存の負荷分散アルゴリズムと比較して,提案したアルゴリズムが応用プログラムの要求するQoSを満たし,かつシステム全体の消費電力を低減できていることを確認する.さらに評価結果をもとに提案アルゴリズムの改良を実施し,必要であればマイグレーション機能を用いたさらなる消費電力量の低減策の導入についても検討する.
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