研究課題/領域番号 |
16K00143
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研究機関 | 神奈川工科大学 |
研究代表者 |
清原 良三 神奈川工科大学, 情報学部, 教授 (70646637)
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研究分担者 |
山門 誠 神奈川工科大学, 創造工学部, 教授 (90749433)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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キーワード | ITS / 自動運転 / 情報提示 |
研究実績の概要 |
本研究は,自動運転普及期においては,限定的な場合のみ自動運転となり,一部手動運転が優先される状況が発生すると想定される場合において,権限移譲のための情報提示方式に関するものである.自動運転普及期に,期待どおりの渋滞削減や,CO2削減,あるいは事故の削減どころか逆に自動運転を原因とした事故が起こるだけでも自動運転の普及の妨げになりかねない.そこで,権限移譲に着目するとタイミングなどが重要となる.そのためには,ドライバ,自動車,道路といったコンテキストが重要なポイントになる.手動運転に切り替わるコンテキストは,すべてのコンテキストが同時に切り替わるこことは少なく,徐々に一部のコンテキストが切り替わってくる.ドライバのコンテキストに応じて適切な情報を提示することにより,手動運転に切り替わりやすいタイミングなどを把握できると考えられる.その中で最も重要なコンテキストは位置の情報である.たとえば,高速道路上か,一般道路上かによって,自動運転かどうかなどがそれだけで決まるといっても過言ではない.このような位置のコンテキストに応じてドライバが必要とする情報が決まるが,その位置をどの程度知っているかといった位置の把握度もコンテキストの一部と言うことができ,その把握度に応じても必要な情報が変わる.この把握度,周辺の状況のコンテキストを合わせることにより,権限移譲のタイミングや権限移譲のための情報提示の方式が決まると考え,シミュレータを利用して各種情報提示方式を比較検討する必要がある.本年度は,その中でも位置のコンテキストに着目して検討を進め,認知地図の構成過程に着目した.ランドマークの重要性がわかり,ドライバ視点のランドマークが有効に作用していることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は位置の把握度を中心にコンテキストマップとコンテキスト理解モジュールの開発を行い,認知地図の作成を行った.認知地図は心理学の世界で,人が頭の中で周辺の地理的な理解を深める過程に関した概念である.特にこの認知地図の構成過程に着目した.また認知地図を利用してユーザの地点把握度の評価を実写映像を元に行った.その結果,ランドマークが重要であることがわかったものの,歩行者視点のランドマークは多数あるが,ドライバ視点のランドマークが明確化されていないことがわかった.地点把握度は,3段階に分けて,初めての場所,認知図分野におけうるルートマップ的理解段階,サーベイマップ的理解段階と3段階に分けた上で,車両のドライバの通過回数をメッシュ状に区切った道路に度数として加える方法で把握を実装した.速度,進行方向,ランドマークの有無といった加点,減点要素を入れることにより,実装し,実走行映像を見ながらドライバの把握度をアンケート方式で獲得し,評価を実施した.特に評価にあたって,昼夜の違い,進行方向の違いなども意識した動画を作成し,被験者にはあたかも初めての道路を何回か走行したように見せる手法を使って,その認知度を順番を変えた画像を見せるなどして評価した.
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今後の研究の推進方策 |
予定どおり,コンテキストを中心にドライバ側の状況をより深く,広く検討を進め,評価を実施していく.まずはドライバコンテキストに着目したものの,あらゆるコンテキストを整理し,各種状態を定義する. そこに,ドライバの動作や周辺状況が変わることをイベントととらえ,状態はイベントによって変わるものとして,発散させる.その結果期待できるのは巨大な状態遷移表である.しかし,この状態遷移表は,多数イベントがあったとしてもそのイベントで大きな影響がでる状態はそれほどないため,統合をすることにより現実的な状態遷移表にできるものと考えている. 状態遷移表とともに,どの状態でどういうイベントを入れることにより,権限移譲がスムーズにいくかを検討するとともに,一方で評価のための環境を整理していき,通信,相互に影響しあう車両を導入したシミュレーションを実施していく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
若干費用が残ったが,年度末に海外出張を実施しておりこの費用のうちの宿泊費や航空券以外の交通費の精算が年度をあけてからになったためであり,実質的には誤差の範囲で利用している.
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次年度使用額の使用計画 |
理由に説明したとおり,前年度末の海外出張の宿泊費と旅費の一部で使用する予定.
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