研究課題/領域番号 |
16K00144
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研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
梶 克彦 愛知工業大学, 情報科学部, 准教授 (40466412)
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研究分担者 |
水野 忠則 愛知工業大学, 情報科学部, 教授 (80252162)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | PDR / スマートフォン / 建物構造 |
研究実績の概要 |
本研究では複数の人の歩行センシングデータを用いた歩行空間ネットワーク構造生成手法の確立が目的であり,以下の4つのサブテーマを設けて研究を推進している.(I)建物らしさの概念の体系化,(II)高精度歩行軌跡推定手法の確立,(III)歩行軌跡の統合によるネットワーク構造推定手法の確立,(IV)歩行センシングデータ収集のための参加型センシング基盤の構築. 本年度は(II)と(III)を中心に研究を進めた.まず(II)については,一般的な建物に存在する折り返し階段に着目し,歩行軌跡の高精度化に取り組んだ.まずPDR(Pedestrian Dead Reckoning)によって推定された歩行軌跡から折り返し階段と思われる部分を切り出す.次に,折り返し階段の前半と後半,また踊り場部分を求める.建物知識として,折り返し階段の前半と後半は平行である,複数階にわたる折り返し階段の幅と長さは等しい,という知識をあてはめ,推定歩行軌跡の修正を行った.歩行軌跡から折り返し階段部分を推定する精度は99%であった.歩行軌跡修正についてはアルゴリズム部分は完成しているが,具体的な精度評価には至っていない. (III)については,複数の同一経路歩行軌跡を平均化することで歩行軌跡推定精度の向上をはかり,研究を推進した.同じグループに所属する人は,同じ経路で目的地に向かうことが多いため,複数の同一経路歩行軌跡が得られる,という仮定に基づいている.このサブテーマは,さらに同一経路歩行軌跡の統合の際に手がかりとなる共通部分を発見する,発見された共通部分に基づいて軌跡を平均化する,という2つの手順を必要とする.本年度は手順前半のアルゴリズムを検討するため,まずは共通部分を手動でラベリングして正解データを生成するラベリングツールを実装し,大規模コーパスHASC-IPSCの補講センシングデータに適用した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は,(I)建物らしさの概念の体系化,(II)高精度歩行軌跡推定手法の確立,(III)歩行軌跡の統合によるネットワーク構造推定手法の確立,(IV)歩行センシングデータ収集のための参加型センシング基盤の構築,までを本年度までに完成させる予定であったが,(II),(III)の検討にとどまった.特に(I)のサブテーマは,(II),(III)のアルゴリズム実装や議論において整理されるはずであったが,(II),(III)のアルゴリズム実装自体が遅れたため,(I)の議論にはいたらなかった.
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今後の研究の推進方策 |
(II),(III)のアルゴリズム実装と評価実験を通して(I)の議論を推進する. また,それと並行して(IV)のシステム実装を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入費としてネットワーク機器の購入を予定していたが,研究室内備品を利用可能であったため新規購入を行わなかった.
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次年度使用額の使用計画 |
歩行センシングデータの収集システムを実装する際にネットワーク機器が複数台必要になるため,その購入費に充てる.
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