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2017 年度 実施状況報告書

超小型化を志向したリアルタイムホログラフィックプロジェクションに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K00151
研究機関千葉大学

研究代表者

下馬場 朋禄  千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (20360563)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードホログラフィ / 計算機合成ホログラム / ホログラム / プロジェクタ / ホログラフィックプロジェクタ / 回折計算
研究実績の概要

本申請課題は超小型化を志向したレンズレス・ホログラフィックプロジェクタを実現するための要素技術と、その試作機の開発を目的とする。ホログラフィックプロジェクタでは、ズームや投影像のノイズ、ホログラムの計算時間が問題となっている。

ホログラフィックプロジェクタに使用する空間光変調器にはLCD(Liquid Crystal Display)やDMD(Digital Micromirror Device)などがあるが、本年度は、DMDの高速性を使用したホログラムの生成方法および再生方法について検討を行った。DMDにホログラムを高速に表示し切り替えることで、再生像上のノイズが時間平均され、画質が向上する。また、申請者らが提案したスケール回折計算を使用することで、DMDでもレンズを使用せずにズームが可能であることを確認した。しかし、DMDはバイナリのホログラムのみしか表示できないため、再生像には直接光と共役光が重畳され、像の観察の妨げになる。この対策に、バイナリホログラムに対して直接光・共役光と物体光を分離できるハーフゾーンプレート処理を適用した。

また、シミュレーション上で、上記の手法でDMDの画素数を1024×1024、画素ピッチを1μmまで縮小した時を想定し投影像の検討を行った。ホログラムから当映像までの距離を0.5mとしたとき、ズームレンズなしでズーム可能な65cm×65cmの投影像を得られることを確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

DMDを用いた方法は画質改善に有効ではあるが、大量のホログラムを生成する必要があるため、その高速計算手法が重要になってくる。昨年度に提案したウェーブレット変換によるホログラムの高速計算手法はバイナリホログラムでも有効であることを示した[1]。また、ホログラフィックプロジェクタは、投影位置を指定してホログラム計算を行う必要があるが、これは裏を返せば、投影位置が未知の場合、ホログラム計算が困難になることを意味する。今年度は、派生的な研究として、映像を投影するスクリーン位置をRGB-Dカメラで検出することで、ホログラム計算を行う手法の検討も行った[2]。
[1] Tomoyoshi Shimobaba, Kyoji Matsushima, Takayuki Takahashi, Yuki Nagahama, Satoki Hasegawa, Marie Sano, Ryuji Hirayama, Takashi Kakue, Tomoyoshi Ito, "Fast, large-scale hologram calculation in wavelet domain", Optics Communications, 412, 80-84 (2018)
[2] Y. Nagahama, T. Shimobaba, T. Kakue, and T. Ito, “Development of Auto-focus System of Holographic Projector Using RGB-D Camera,” IWH2017 Technical Digest, 22p4 (2017).

今後の研究の推進方策

H28,29年度の検討を行った要素技術を用いて、小型化を目指したホログラフィックプロジェクションの試作機を開発する。このホログラフィックプロジェクションではDMDを使用する予定である。この試作を通して、画質評価や計算時間の評価を行うと共に、将来的に必要になるホログラム表示素子の要求仕様も見積もりたいと考えている。また、ディープラーニングを光情報処理へ応用した研究を行っているが、この研究を通して、ホログラフィックプロジェクションへの着想を得たので、H30年度に基礎的な実験を併せて行うことを予定している。

次年度使用額が生じた理由

(理由)費目「その他」の使用額が想定よりも少なかったため残額が生じた。

(使用計画)
前年度の残額は、次年度の物品費もしくは旅費で使用する予定である。

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Fast, large-scale hologram calculation in wavelet domain2018

    • 著者名/発表者名
      Tomoyoshi Shimobaba, Kyoji Matsushima, Takayuki Takahashi, Yuki Nagahama, Satoki Hasegawa, Marie Sano, Ryuji Hirayama, Takashi Kakue, Tomoyoshi Ito
    • 雑誌名

      Optics Communications

      巻: 412 ページ: 80-84

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] ホログラムデータの生成・計算2018

    • 著者名/発表者名
      下馬場朋禄, 角江崇, 伊藤智義
    • 雑誌名

      映像情報メディア学会誌

      巻: - ページ: -

  • [雑誌論文] ホログラフィックプロジェクタ2018

    • 著者名/発表者名
      長浜佑樹, 下馬場朋禄, 角江崇, 伊藤智義
    • 雑誌名

      映像情報メディア学会誌

      巻: - ページ: -

  • [雑誌論文] Convolutional neural network-based data page classification for holographic memory2017

    • 著者名/発表者名
      Tomoyoshi Shimobaba, Naoki Kuwata, Mizuha Honma, Takayuki Takahashi, Yuki Nagahama, Marie Sano, Satoki Hasegawa, Ryuji Hirayama, Takashi Kakue, Atsushi Shiraki, Naoki Takada, Tomoyoshi Ito
    • 雑誌名

      Applied Optics

      巻: 56 ページ: 7327-7330

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Development of Auto-focus System of Holographic Projector Using RGB-D Camera2017

    • 著者名/発表者名
      Yuki Nagahama, Tomoyoshi Shimobaba, Takashi Kakue,Tomoyoshi Ito
    • 雑誌名

      IWH2017 Technical Digest

      巻: - ページ: 22p4

    • 査読あり
  • [雑誌論文] スマートフォンとDFD錯視現象を利用した小型3D画像表示装置の開発2017

    • 著者名/発表者名
      三瓶卓方, 下馬場朋禄, 角江崇, 伊藤智義
    • 雑誌名

      映像情報メディア学会誌

      巻: 71 ページ: J269-J271

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ホログラフィックプロジェクタによるマルチプロジェクション及び画質改善2017

    • 著者名/発表者名
      山口由美, 長浜佑樹, 川島徹也, 下馬場朋禄, 角江崇, 伊藤智義
    • 雑誌名

      映像情報メディア学会誌

      巻: 71 ページ: J101-J105

    • 査読あり
  • [学会発表] 深層学習を用いたホログラフィックメモリのデータページ分割サイズ変更による精度比較2018

    • 著者名/発表者名
      永井勝規, 下馬場朋禄, 角江崇, 伊藤智義
    • 学会等名
      第12回関東学生研究論文講演会
  • [学会発表] Point cloud-based hologram calculation : WASABI and WRP methods2017

    • 著者名/発表者名
      Tomoyoshi Shimobaba, Takashi Kakue, Tomoyoshi Ito
    • 学会等名
      Digital Holography & 3-D Imaging (DH2017)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Holographic display and its computational techniques2017

    • 著者名/発表者名
      Tomoyoshi Shimobaba, Takashi Kakue, Tomoyoshi Ito
    • 学会等名
      LDC2017(Laser Display and Lighting Conference)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 深層学習を用いたホログラフィックメモリの検討2017

    • 著者名/発表者名
      下馬場朋禄, 本間みづは, 角江崇, 伊藤智義
    • 学会等名
      電子情報通信学会磁気記録・情報ストレージ研究会(MR)
  • [学会発表] ランダム位相フリーホログラムによる非平行平面スクリーンへの投影2017

    • 著者名/発表者名
      長浜佑樹,下馬場朋禄,角江崇,伊藤智義
    • 学会等名
      3次元画像コンファレンス2017
  • [学会発表] 波面記録法とウェーブレット変換を用いたホログラム計算の高速化2017

    • 著者名/発表者名
      下馬場朋禄, 松島恭治, 角江崇, 伊藤智義
    • 学会等名
      3次元画像コンファレンス2017
  • [図書] ホログラフィックプロジェクションの投影,計算,画質改善技術2018

    • 著者名/発表者名
      下馬場朋禄, 長浜佑樹, 角江崇, 伊藤智義
    • 総ページ数
      -
    • 出版者
      技術情報協会
  • [図書] ホログラフィ入門 コンピュータを利用した3次元映像・3次元計測2017

    • 著者名/発表者名
      伊藤智義, 下馬場朋禄
    • 総ページ数
      184
    • 出版者
      講談社

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公開日: 2018-12-17  

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