研究課題/領域番号 |
16K00157
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
石川 博 首都大学東京, 公私立大学の部局等, 教授 (60326014)
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研究分担者 |
江原 遥 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究員 (60738029)
廣田 雅春 岡山理科大学, 総合情報学部, 講師 (70750628)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ソーシャルデータ / ビッグデータ / 統合分析モデル / 観光情報 / ジオソーシャル / 時系列データ / 科学データ |
研究実績の概要 |
◆統合分析モデル:集合族の導入で,ソーシャルビッグデータ応用に出現するデータ管理とデータマイニングの両方を統一的に表せることを国際会議MMEDIA2017(最優秀論文賞)と国際論文誌IJANSで発表した. ◆自然言語処理:ある観光資源名について記述したソーシャルデータ(ツイッター)に出現する単語の共起グラフに対して,BiasedLexRank手法を適用して,特定の地域を特徴づける単語を発見する方法を開発した.またソーシャルデータのSVMによる分類により,旅行者の行動が,東京が目的地か経由地かによって差異があるか分析し,国際会議ACM MEDES2017で発表した.また,ある観光地を訪れる前後で,その印象が変化することに基づいて期待以上の観光地を発見する方法を開発し,観光情報学会で発表した. ◆ジオソーシャル・時系列データ分析:オープンデータ(道路,避難所,危険度)とソーシャルデータ(密集する場所と時間帯)を組み合わせて,災害時の最適な避難経路を計算する手法を開発し,DBSJ和文論文誌に投稿(論文賞)した.また時系列のソーシャルデータとオープンデータの関係を利用して,桜の見ごろなどを正確に予測する方式を,国際会議IWIN2017(最優秀プレゼンテーション賞),国際会議MMEDIA2017で発表,国際論文誌IJASMに論文として採録された. ◆ユースケース:インバウンド観光事業支援のために(A)観光スポット間での移動を言語別,時間帯別で可視化,並びに(B)観光スポットに関する,みんなの評価の変化を発見する実証サービスなどを開発した.サイエンスビッグデータに関してはJAXAなどと共同で,地震波そのものでなく,月から見た地球・木星までの距離,速度などで月震分類が可能であることをbalanced random forest手法を用いて確認し,国際会議MMEDIA2017で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
すべての課題について,本年度の研究成果を国内会議・国際会議で発表し,国内・国際論文誌に論文を投稿することができた.またユースケースとしてインバウンド事業者向け実証サービスへの適用および科学データを用いた月震分類という研究への適用を通して,本年度に研究開発した成果の有効性が確認できた.さらに国際会議で4件,国内会議で1件,論文誌で1件受賞した.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は,ユースケースの開発を進めて,時空間分析基盤・情報抽出内容分析基盤の実現と改良の検討を行う.研究成果を国内・国際会議で発表や論文誌に投稿すると同時に,研究内容の全体像を学術書にまとめる.具体的には以下のように研究を進める. 【課題A】提案する代数操作をユースケースの記述に適用し,その妥当性の検証を行い,それをもとに必要な改良を検討する. 【課題B1】複数のホットスポットの訪問歴による投稿者の属性推定の方式を実現する.また広域のエリアにおける移動歴による投稿者の目的推定の方式を実現する.これらの精度や実行速度を評価し,必要な改良を検討する. 【課題B2】ソーシャルデータに含まれる言語情報と画像情報を統合的に利用するハイブリッドな分析手法を実現し,投稿者の意図や視点を推定する手法を実現して,手法の妥当性を検証し,必要な改良を検討する. 【課題B3】現実世界では,データ量が十分でないために分析ができないようなスポットであっても,適切な補完方法を適用し,時系列データを補完して分析する手法を確立し,手法の妥当性を検証し,必要な改良を検討する. 【課題C】研究成果を観光や科学など複数のユースケースに適用し,その妥当性の検証を行い,必要な改良を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
H29年度予算のうち112,567円は国際会議などの旅費に当てることを想定していたが、この額は、国際会議の旅費としては不足する額であるため、翌平成30年度に繰り越した。平成30年度は主に旅費に使用する予定である
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