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2017 年度 実施状況報告書

WebGIS3次元地質モデラーを効率的に活用するための地層対比支援システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K00158
研究機関大阪市立大学

研究代表者

升本 眞二  大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (40173760)

研究分担者 根本 達也  大阪市立大学, 大学院理学研究科, 講師 (10572555)
V. Raghavan  大阪市立大学, 大学院創造都市研究科, 教授 (30291602)
野々垣 進  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (30568613)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード地理情報システム(GIS) / 3次元地質モデル / 地質情報
研究実績の概要

我々の生活を支える地下の地質体の空間分布を表す3次元地質モデルは、都市部では主にボーリング柱状図の情報をもとに地層を対比・区分した結果から構築される。地層の対比や区分の作業は、地質学の専門家の判断が必要なために、多大な時間を要している。本研究の目的は、この作業を効率良く行える支援システムを開発することである。これにより、多くの3次元地質モデルの構築を可能にする。本年度(2年度)の主な成果はつぎの通りである。なお、これらの成果の一部を国内外の学会で発表した。
1.理論的な基礎の確立:地層の対比は、主に岩相(粒度組成など)、N値(地盤の硬さを表す指標)、および、鍵層(貝・腐植混じりや火山灰等)を用いる。これらをわかりやすく表示するために、従来の規格化された表示方法とは異なるボーリング柱状図の表示方法を検討・作成した。対比の補助となるように、N値を3次元空間補間した結果の断面や対比を終えたデータから推定した概略的な地質境界線・断面などを、対比作業画面の背景として表示する方法の検討・開発を行った。また、作業の進行に合わせて、それまでの結果と新たに追加された結果の論理的矛盾をリアルタイムにチェックする方法を確立した。
2.システム開発:N値の分布を3次元に空間補間する方法を検討し、プログラムを開発した。対比の結果を背景の地質境界線、あるいは、地質断面に反映させることを可能にするために地質境界面推定法の効率化・高速化の方法を引続き検討した。効率化に関しては節点の設定方法やパラメータの設定等も含めて概ね検討を終えた。高速化に関しては、推定法の中の解法の一部を変更することにより改善はできたが、引き続き検討することになった。これらには、初年度に構築したサーバ等を用いた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度(2年度)の研究実績の概要で示したように、本研究を進める中で重要な課題である次の点が当初の計画通りに進んだ。
1.地層対比のための基本情報や補助する情報を選定し、それらの表示方法を検討し、具体的な表示例を示すことができた。対比の基本情報としては、岩相、N値、および、鍵層等を選定し、これらをわかりやすく示す、いくつかの表示方法が開発できた。また、対比を補助する情報としては、N値のデータを補間して得られた3次元空間分布の断面図、および概略的な3次元地質モデルから作成した地質境界線や断面を選定し、それぞれを表示する方法が開発できた。
2.対比作業の進行に合わせて、それまでの対比結果と新規に追加したデータの論理的整合性を地質構造の論理モデルの基本的な考えに基づいて評価する方法を確立した。
3.地質境界面推定方法の効率化と高速化に関しては、データ密度に合わせた節点の適切配置の方法により、効率化が進むとともに結果的には速度も速くなった。また、並列化に向けた境界面推定法の中の解法自体の改良により、一部の高速化は実現した。
これらの成果は、最終的な完成に向けた改良やシステム化が必要ではあるが、基礎部分の確立はほぼできたものと考える。このことから、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

本年度は最終年度であるため、とくに次の点に重点をおいて、予定していた計画通りに研究を進める。なお、これらの研究成果や問題点を整理して、学会発表や論文作成を行う予定である。
基礎理論の確立:①地層の対比のための基本情報や補助する情報、およびそれらの表示方法等に関しては概ね確立したが、それ以外の追加情報の有無や、よりわかりやすい表示方法がないかの検討・確認を行う。②対比を補助する情報の中で、N値の断面に関しては、3次元空間補間の際の水平方向にかける加重のパラメータについて検討する。地質境界線や地質断面に関しては、対比の進行に合わせて3次元地質モデルを更新し、再描画すると、より対比の判断が容易になる。これらの更新は地質境界面推定法を高速化しても時間的制約が残ることが予想される。このため、実際に地層の対比作業を行う際の、対比するボーリングの選択順序やモデルを更新するタイミング等について検討し、効率よく進めるための方法を確立する。
システム開発:③地質境界面推定法の効率化や演算の並列化による高速化をさらに進めて、可能な限り推定に時間がかからないように改良を継続する。④開発した個々のシステムをまとめ、支援システム全体を再構築し、システムの検証を行う。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Evaluating parameters for BS-Horizon surface generation using elevation data2017

    • 著者名/発表者名
      Thi An Tran, Masumoto S., Raghavan V., Nonogaki S., Yonezawa G., Nemoto T.
    • 雑誌名

      Geoinformatics

      巻: 28 ページ: 31~50

    • DOI

      https://doi.org/10.6010/geoinformatics.28.2_31

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 地盤の三次元解析-モデリング-2017

    • 著者名/発表者名
      根本 達也
    • 雑誌名

      地質と調査

      巻: 150 ページ: 55~58

    • 査読あり
  • [学会発表] 双3次B-スプラインを用いた地層境界面推定のための節点配置方法2017

    • 著者名/発表者名
      野々垣 進, 升本 眞二, 根本 達也
    • 学会等名
      第28回日本情報地質学会講演会
  • [学会発表] 地質構造の論理モデルに基づく3次元地質モデルのためのWeb可視化システムの開発2017

    • 著者名/発表者名
      根本 達也, 升本 眞二, 野々垣 進
    • 学会等名
      第28回日本情報地質学会講演会
  • [学会発表] ベトナムの地質情報を用いた3次元地質モデリング2017

    • 著者名/発表者名
      米澤 剛, 野々垣 進, ツォン スアン ルアン, 升本 眞二, 三田村 宗樹
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2018年大会・JpGU-AGU Joint Meeting 2017
  • [学会発表] FOSS4Gを用いた柱状図データの3次元可視化とWeb共有2017

    • 著者名/発表者名
      野々垣 進, 升本 眞二, 根本 達也
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2018年大会・JpGU-AGU Joint Meeting 2017
  • [学会発表] Prototype of Web-based Geological Data Sharing System using Free and Open Source Software2017

    • 著者名/発表者名
      Nonogaki S., Masumoto S., Nemoto T.
    • 学会等名
      American Geophysical Union, Fall Meeting 2017
    • 国際学会
  • [学会発表] A Web-based Visualization System for Three Dimensional Geological Model using Open GIS2017

    • 著者名/発表者名
      Nemoto T., Masumoto S., Nonogaki S.
    • 学会等名
      American Geophysical Union, Fall Meeting 2017
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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