研究課題/領域番号 |
16K00159
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研究機関 | 東京情報大学 |
研究代表者 |
花田 真樹 東京情報大学, 総合情報学部, 准教授 (40373039)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | CCN / ストリーミング / キャッシュ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,コンテンツ指向ネットワークにおいて,スムーズなストリーミング再生を目的としたストリーミング配信技術を確立することである. 平成29年度では,予定していた下記の研究内容(2).の検討・提案・評価を実施した. (2) ユーザのコンテンツ要求率とコンテンツの人気度を考慮したキャッシング(in-network caching)方式: 平成28年度の研究項目では,コンテンツのストリーミング再生順序のみを考慮したキャッシング方式の検討・提案・評価を実施したが,この方式はコンテンツ要求率の高いヘビーユーザおよび要求の多い(人気度の高い)コンテンツを考慮していない.一般的にはコンテンツ要求率の高いヘビーユーザおよび要求の多い(人気度の高い)コンテンツが存在すると考えられる. そこで,本研究項目では,チャンクへのアクセス数(参照回数)とアクセス時間(最新性)を考慮するために,LFU(Least Frequently Used)とLRU(Least Recently Used)の概念を取り入れた優先度をチャンクに割り当て,優先度の高いチャンクから順にキャッシュする方式を提案した.ここで,優先度とは,アクセス数(参照回数)やアクセス時間(最新性)を0から1の間で表現し,これらに対してパラメータを用いて重みづけした値である.提案方式の有効性を評価するために,提案方式をNS3をベースとしたndnSIMシミュレータ(NS-3 based Named Data Networking (NDN) simulator)上に実装し,既存方式,平成28年度に提案したキャッシング方式の2つとの性能比較を行った.その結果,あるパラメータの条件下において,既存方式,平成28年度に提案したキャッシング方式より,平均再生途切れ時間を短く抑えられるという結果が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度では,「ユーザのコンテンツ要求率とコンテンツの人気度を考慮したキャッシング(in-network caching)方式」の検討・提案・評価を実施することを予定していた.平成28年度の研究項目がスムーズに進み,かつ,平成29年度の基本的な方針が固まっていたため,おおむね順調に実施できたと考えている.実験結果に関しても,当初予想していた通りの結果が得られた.しかしながら,提案方式は3つのパラメータを含んでいるため,評価実験に多くの時間を要した.短期間で実験結果が得られない場合,今後の進捗に影響が出るため,この問題を早期に改善する必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は,交付申請書の研究実施計画の3つ目である「スムーズなストリーミング再生を目的とした名前ベースの経路制御方式」に関する研究を実施する予定であったが,平成28年度と平成29年度の研究項目を実施してきた過程で,最短経路以外の経路を導入しても十分な効果が期待できないことが明らかになってきた.従って,経路自体を変更するのではなく,経路の近傍(例えば,1ホップ隣のルータなど)に必要なチャンクを配置するなどの方式を考えている.また,経路を変更せずに再生に間に合わないチャンクを間に合う位置のルータに移動・コピーする方式も考えている.評価実験を繰り返し実施していく過程で,適宜見直しを行い,最良な手法を検討していく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費が当初予定していた額より少なく抑えられたためである.評価実験で得られる実験データが予定していたサイズより多くなっているため,データを格納するための記録媒体の購入費として使用する予定である.
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