研究課題/領域番号 |
16K00163
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研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
金子 邦彦 福山大学, 工学部, 教授 (50274494)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | データベース |
研究実績の概要 |
1.本年度は研究の立ち上げ期である.本課題研究の目的である「予測失敗の原因」を探るための情報工学ツールセットの整備を行った.これは,Windowsのパソコンに,データベースソフトウエア,統計ソフトウエアをインストールするとともに,各種の解析機能もそろえるものである.そのアウトプットは(1)研究に必要なソフトがインストールされたパソコン(動作テスト済み),(2)インストール手順のドキュメント,(3)研究に必要な機能の操作説明書である. 2.実データ提供の準備を受ける準備(中身のプレビュー,予測失敗が発生するのかの検討)を行った.(1)九州大学病院の研究者との情報交換を行った.データベース,漢方医学についての情報交換を実施.舌が5つの領域に分かれることなどの情報を得た.舌画像データ(百数十名分)の提供を受けることの内諾を得た.(2)大分大学病院との情報交換を行った.「オオイタトライアル3」と呼ばれる大分大学病院主導プロジェクトの説明を受け,連携の内諾を得た.大腸がんのプローブ(遺伝子)データ,診療の効果データの提供の内諾を得た.(以上2つのデータは,報告書作成時点である2017年5月までにすでに提供を受けている). 3.テストデータを用いたデータ解析シナリオの作成.これには,データ解析の典型的な手順例を示すもの.このデータ解析は,複数の変数の間の連関を見るもので,複数の変数の間に因果関係があるかの手がかりを得るのに役立つ.シナリオの1つめは,舌画像に関するもので,舌画像の色の変化のパターンをグラフとしてプロットするもの.シナリオの2つめは,プローブデータとも呼ばれる遺伝子データに関するもので,遺伝子の発現量であるプローブ値と,他の変数との間の連関を見るもの.当然,遺伝子は多数あるので,重要な遺伝子を抜き出すことが重要になる.このシナリオを使い,「予測失敗」の発生も確認済みである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.実データを用いた研究を2年目から開始できる準備を整えた.具体的には,九州大学,大分大学からの実データの提供を受ける準備ができた.実データを用いて,本課題研究の「予測失敗の原因」を探る準備が整った. 2.研究に必要なソフトウエア,パソコン類の整備,ソフトのインストールは問題なく進んだ. 3.実際に,ソフトを使い,データベースソフトウエア,統計ソフトウエアの既存機能のうち,本研究に必要となる機能の見極めを進めた. 4.プログラムを数点試作し,テストデータを使い,いくつかの解析試行を進めた.(1)p値と呼ばれる値の頻度分布ヒストグラム作成プログラム.(2)p値について並べ替え等を行うプログラム.(3)p値からデータの重要度をつけ,重要なデータを抜き出して,解析できるプログラム.以上3点などである. 5.多数の変数の中から,要因を説明する変数を順位付けできる手法について考案,確認できた.さらには,実際に「予測失敗」が起きえることも確認できた. 6.カラー動画像の画素の平均と不偏分散に着目するという着想を得た.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は次の通りである.現在までに,実データの入手,現実的な状況で「予測失敗」が起きえることの確認は順調に進んでおり,今後は,複数研究者との連携を進めながら,予測失敗の原因についての研究が着実に進むように研究を行う. 1.舌の画像のデータの提供を受けて,研究を推進する. 2.大腸がんのプローブ(遺伝子)データ,診療の効果データの提供を受けて,研究を進める. 3.同時に,データを提供してくださる研究者との会合,情報交換を進め,研究を進める. 4.関係する研究者(複数)の連携協力者の追加も併せて検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は初年度である.夏の段階で,実データ2種類を入手しての研究の推進ができる可能性が分かり,その後,実データを保持している学外の研究者との協議を進め,提供を受けるデータの種類や数や利用目的等の合意を進めた.さらに,既存の予測手法で,データの重要度を予測したり,データの自動分類を行い,実際に,既存の手法がうまくいかないケースも見つかりつつある.以上のように,新しい実データを入手しての研究の推進に注力することに決めたため,当初検討していたような「架空の失敗例」で研究を進めることは避けることにした.そこで,実データの入手は2年目の早い時期に行い(本報告書作成の2017年5月の時点で入手済みである),研究成果の対外発表も2年目から行う(対外発表については,実データの提供者とも協議する)ことに決め,関係する費用を繰り越すことにした.
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果発表のための旅費と「その他」の費用(英語論文校正のための費用)を次年度に繰り越し,使用する予定である.
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