本研究の目的は、日々放送されているニュース番組を収集し、放送される映像、及び同一や継続などの話題構造の情報から、話題の要となる人物や場所、状況などを示す映像要素を抽出し、長期間のニュースを様々な視点から概観できる映像応用システムへの展開を図ることにある。 最終年度である令和元年度は、以前から構築している放送映像アーカイブを活用し、蓄積された現在までに放送されてきたニュース番組を概観できるニュース番組閲覧システムのプロトタイプを構築した。このシステムでは、特定の話題やオブジェクトに基づき、その放送部分を閲覧することや、時間経過に伴う話題内容の変化を確認することができる。同時に、その放送分布状況から、話題の発生時期や注目度合の変化なども概観することができる。 本研究期間中には、ニュースの話題や状況を説明し得るオブジェクトや画像・映像候補の識別、話題を代表するキーワード、そしてそれらの時間的遷移を取得する試みを行っている。予備実験にとどまるが、この情報を活用することで、ニュースの主要な内容や経過を要約提示することができる。 目標の一つにあげていた、分布や役割の評価に基づく有意な映像領域や区間の選定、またその判断基準の体系化までは十分に考察できなかったが、ニュースの話題を代表する映像やキーワードの取得、および長期にわたるニュース番組を概観できる閲覧システムの構築を行った。研究期間後の展開としては、映像の役割やその評価に関する考察をすすめ、映像要素を集積し、映像知識として活用できる環境を整えていきたいと考えている。
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