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2016 年度 実施状況報告書

メニーコア超並列クラスタにおける有理数演算ライブラリに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K00168
研究機関筑波大学

研究代表者

高橋 大介  筑波大学, 計算科学研究センター, 教授 (00292714)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード有理数計算 / 多倍長整数演算 / SIMD化 / 並列化
研究実績の概要

平成28年度は多倍長整数演算の階層においてSIMD命令を用いたベクトル化を行うと共に、有理数計算プログラミング環境での有理数BLAS(Basic Linear Algebra Subprograms)の並列化を行った。
整数除算は多くのアプリケーションで広く用いられている演算の一つである。一般的に除算は加減乗算に比べて遅いことが知られている。多くのプロセッサでは整数加減乗算のSIMD命令がサポートされているが、整数除算のSIMD命令をサポートしているプロセッサはほとんど存在しないのが現状である。そこで、SIMD命令を用いて複数の被除数と除数に対する符号なし64ビット整数除算を高速化し性能評価を行った。Newton-Raphson法を用いるとともに、単精度および倍精度浮動小数点演算を用いてSIMD化を行うことでIntel64アーキテクチャの符号なし64ビット整数除算命令やIntel SVML(Short Vector Mathematical Library)に比べて高速に整数除算が行えることを示した。
有理数計算プログラミング環境は、分母・分子を可変長の多桁数で保持する有理数を、C++の演算子多重定義を用いて実装することで、四則演算を+、-、*、/の記号で書くことができる。これにより、有理算術演算による数値計算を、浮動小数点演算のようにプログラミングできるが、計算の高速化が課題である。数値線形代数のサブルーチンを、Fortran90の部分配列に似た表現で、行列やベクトルの一部を外部関数に渡して、BLASライブラリ的な並列化で設計した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在までの進捗状況は研究計画の通り順調に進展しているため。

今後の研究の推進方策

今後の推進方策としては線形計算の階層においてMPI並列化およびMPIとOpenMPによるハイブリッド並列化を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

平成28年度の研究成果を論文にまとめて国際会議に投稿する予定であったが、論文の執筆が遅れたために平成28年度中に国際会議で発表することができなかったため旅費の使用額が少なくなり、次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

現在国際会議に論文を投稿中であり、論文が採択されれば平成29年度に国際会議で発表するための旅費を使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 2016

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 有理数計算プログラミング環境での有理数BLASの並列化について2017

    • 著者名/発表者名
      寒川光
    • 学会等名
      情報処理学会第158回 ハイパフォーマンスコンピューティング研究会
    • 発表場所
      大月ホテル和風館(静岡県熱海市)
    • 年月日
      2017-03-08 – 2017-03-10
  • [学会発表] SIMD命令を用いた整数除算の高速化2016

    • 著者名/発表者名
      高橋大介
    • 学会等名
      日本応用数理学会2016年度年会
    • 発表場所
      北九州国際会議場(福岡県北九州市)
    • 年月日
      2016-09-12 – 2016-09-14

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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