研究課題
本研究では, GPU向けビットレベル並列化による超ハイスループット計算手法を開発した.本手法では,大量の入力に対して,ビットレベルで並列計算をおこなうBPBC手法を開発した.BPBC手法とはバルク計算を高速化させるための手法であり,bitwise演算を用いることで高速化を行う.bitwise演算は32ビットまたは64ビットワードに格納された値に対して,ビット単位でANDやORなどの論理演算を実行する命令である.bitwise演算を用いてバルク計算を行うアルゴリズムに対応する組み合わせ回路をシミュレートすることで,複数の入力に対する処理を同時に実行することができる.BPBC手法の応用の一例として,CKYパージングとSmith-Watermanアルゴリズムを並列に実行するGPU実装を行った.CKYパージングは構文解析アルゴリズムの一つで,与えられた文法が入力された文字列を導出可能かどうか判定する.BPBC手法をCKY処理に適応した結果,32768の規則を持つ文脈自由文法のCKYパージング処理を長さ32文字の2百万個の文字列に対し,提案GPU実装は,逐次処理を行うCPU処理に対して最大400倍高速化を実現した.また,Smith-Watermanアルゴリズムを並列に実行するGPU実装を行った.Smith-Watermanアルゴリズムは動的計画法を用いて,ローカルアライメントを求める計算手法で,バイオインフォマティクスの分野において,DNA配列中に類似した部分列の探索に用いられる.BPBC手法をSmith-Watermanアルゴリズム計算に適応した結果,32768のシーケンス列に対し,長さ128のパターンのローカルアライメント計算を,提案GPU実装は逐次処理を行うCPU処理に対して最大646倍の高速化を実現した.
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Bulletin of Networking, Computing, Systems, and Software
巻: 8 ページ: 50-53