研究課題
最終年度は、平成29年度までに開発したmodule変数廃止及びデータ引数化を行った大規模並列量子化学計算プログラムSMASHをMPI並列化した。シングルノード版と同様に2-3%程度のオーバーヘッドはあるものの、Pythonから呼び出してMPI並列実行が可能になり、データの流れが明確になるとともにプログラムの利用の幅を広げた。また、あらわに電子と点電荷相互作用を取り扱った周期境界条件下での量子化学計算と分子力学計算を組み合わせたQM/MM-PBC計算アルゴリズムとプログラム開発も行い、Ewald法におけるsurface-dipole項が無視できないことを示した。研究期間を通して、Hartree-Fock及びDFT計算については、最も計算時間がかかる2電子項計算の4重ループの前半をまとめてOpenMP並列化するなどメニーコアマシンでも並列化効率が低下しないよう改良し、Xeon Phiマシン60スレッドでも高い並列加速率を示した。複雑な分子系の繰り返し計算回数を削減するため、2次収束法のMPI/OpenMP並列計算アルゴリズムも開発した。弱い相互作用を取り扱える2次の摂動(MP2)法については、一部計算の複数回計算によりメモリ使用量を削減、演算と通信のオーバーラップにより通信時間を削減するアルゴリズムを開発した。小幅な計算時間増加で大幅なメモリ使用量削減ができ、さらに通信時間は半減し、より実用的なプログラムとなった。2種類の金属元素クラスタの安定構造、金属上での一酸化窒素の2量化反応など触媒反応における貴金属削減に向けた計算も行った。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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