研究課題/領域番号 |
16K00178
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
川原 慎太郎 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球情報基盤センター, 技術研究員 (60415982)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | VR可視化 / バーチャルリアリティ / ヘッドマウントディスプレイ |
研究実績の概要 |
本研究が目指す遠隔協働可視化環境を構築するにあたり、CAVE型バーチャルリアリティ(VR)装置用可視化ソフトウェアVFIVEを、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)型VR装置でも動作するようプログラムの移植を行った。HMD型VR装置としては、Oculus RiftおよびHTC Viveの二種を対象とした。Oculus Riftについてはハードウェアおよび専用のソフトウェア開発キット共に本年度中に更新された最新のものに対応した。また、Oculus Rift以外のHMD型VR装置にも対応したソフトウェア開発キットであるOpenVRを用いることにより、VFIVEをHTC Viveでも動作可能とした。Oculus Riftでは、ハンドトラッキング可能なコントローラ(Oculus Touch)に対応させることにより、VR空間中でのメニュー選択や可視化パラメータの変更など、CAVE型VR装置でVFIVEを実行した際とほぼ同様の操作感覚でインタラクティブな可視化を行うことが可能となった。通常、HMD型VR装置の装着時には外界の視覚情報を得ることができないが、装置前面に高解像度のステレオカメラを装着し、そこで取得した視差映像に対してVFIVEによる可視化結果の3-D CGをオーバレイ表示することにより、装置装着時にも他者とのコミュニケーションを取ることを可能とした。本研究の過程で、OpenGL関連の処理と、HMD関連の処理とを統合したHMD用プログラム開発全般に使用可能なクラスライブラリを作成すると共に、その発展としてCAVE型VR装置用プログラム開発ライブラリであるCAVELibのラッパーライブラリを開発した。本開発により、これまでに開発した種々のCAVE型VR装置用プログラムに対する変更を最小限に留めつつ、HMD型VR装置での動作を実現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度実施したCAVE型VR装置用可視化ソフトウェアのHMD型VR装置への移植は、本研究が目指す遠隔協働可視化環境を構築するための基盤となるものである。平成28年は「VR元年」と呼ばれる年であったが、各種HMD型VR装置についても開発の過渡期であったと言える。そんな中、当初想定していたOculus Riftのみでなく、その専用コントローラであるOculus Touchへの対応によるCAVE型VR装置でのVFIVE実行時と同様の操作感の実現や、研究計画遂行中に新たに登場したHTC Viveへの対応、CAVELibラッパーライブラリの開発に多くの時間を割いたが、それらにより得られた成果は想定を超えるものであった。当初予定していた遠隔協働可視化環境実現のための機能実装については着手に至らなかったが、前述した基盤技術の確立により、次年度以降の計画遂行を円滑に進めることができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度開発したHMD型VR装置用VFIVEについては、ソースコードを整理し、CAVE型VR装置用VFIVE同様インターネットを通じて公開を行う予定である。これと並行して、HMD型VR装置用およびCAVE型VR装置用共にVFIVEへの可視化環境共有機能の実装に着手する。遠隔地間で可視化環境を共有するためのデータとしては、等値面生成の閾値や、流線追跡の開始点を示す三次元座標などの可視化パラメータが挙げられるが、これらの共有はサーバを介して行う。また、協働環境下での可視化作業を高効率化するための方法の検討およびその実装に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では平成28年度設備備品として、グラフィックスワークステーションおよびHMD型VR装置を神戸大学に設置予定であったが、基盤技術の開発に注力かつ遠隔地間を結ぶ協働可視化実験の実施に至らなかったため導入しなかった。研究代表者の購入したグラフィックスワークステーションについても、デモ等における可搬性を考慮したノート型PCを導入することとしたため、当初計画よりも低い支出となった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度設備備品として、当初計画していたグラフィックスワークステーションおよびHMD型VR装置(Oculus Rift)の神戸大学への設置を進める予定である。神戸大学には、本年度購入したHTCViveについてもOculus Riftと併せて設置し、同機種間および異機種間での通信実験を実施予定である。
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