研究課題
平成30年度は本研究期間の最終年であり,これまでに開発したP2P型クラウドストレージ関連技術を多様な分野に応用する発展研究に取り組んだ.はじめに,不特定多数のユーザ間による非中央集権的な個人データ売買(いわゆるスマートコントラクト)分野への応用可能性について検討した.そして,開発技術のP2P型クラウドストレージが商品(個人データ)を安全に預かる一時保管庫として有効活用できることを示した.一方で,ブロックチェーンに契約内容が記載されて全ユーザに公開されてしまうというスマートコントラクトの特性により、売買契約成立後は商品の機密性とユーザ(商品の販売者)の匿名性が損なわれる懸念が判明した.そこで,商品を購入者に送付する方法を工夫することで機密性が損なわれることを防ぎ,また,他ユーザと協力することでユーザを特定する公開鍵を変更できるようにすることで匿名性を維持する独自技術をそれぞれ新規開発した.さらに,ユーザのライフログ(移動履歴やウェブ閲覧履歴など)を活用したターゲティング広告分野への応用可能性についても検討した.従来型のターゲティング広告は,サービス事業者がユーザのライフログを収集・閲覧するため,ユーザのプライバシが損なわれる懸念があった.そこで,本研究では,これまでの開発技術を援用することで,サービス事業者によるユーザのライフログ収集・閲覧を回避しつつ、ユーザのライフログを活用する高精度ターゲティング広告を可能にする独自技術を新規開発した.これらの成果は事業化の可能性を想定して特許出願を実施している.
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第82回コンピュータセキュリティ研究会 (2018-CSEC-82)論文集
巻: 2018-CSEC-82 ページ: No.8