研究課題
生体の個人差に基づいたバイオメトリクス認証は、パスワード等に比べ漏えいや盗難の危険性が低く、安全な認証方法と考えられている。しかし多くのシステムでは、認証のタイミングはサービス開始時の一度きりであり、認証後に他人に成り代る等の不正を検知し、サービスを利用する全期間を認証し続ける常時認証が求められている。我々は外耳道の音響特性である外耳道伝達関数(Ear Canal Transfer Function:ECTF)を用いて常時認証を行う画期的な認証法を提案し、この認証法の社会実装を目指し観測データのばらつきを抑制しロバストネスな音響信号の観測手法、判定能力の高い音響特徴量を算出する手法の検討を行う。更に外耳道形状の特徴量取得を行う。これより、音響特性と外耳道形状との関係の解明を目的とした。実績として次の3項目について検討を行った。項目1)ロバストネス音響信号観測手段の確立:外部雑音によるロバストネスとの関係にういての検討および、特徴量が含まれる周波数帯域について周波数誤差拡散法を提案し検討を行った。その結果、誤差と共に識別精度が劣化することおよび、誤差周波数拡散法により騒音レベルが同等であっても、識別精度を向上させる手法を提案することができた。項目2.判定能力の高い音響特徴算出手段の確立:両耳から得られるバイオメトリクス情報から最適な特徴量設計方法を検討した。その結果、時系列データを連結させて得られる組み合わせる手法が有効であることを実験的および理論的に検証した。項目3.外耳道の形状特徴量算出:3D外耳道スキャナーを用いて外耳道内の3D計測を行い、形状類似度と音響特性との関係について検討を行った。その結果より、音響特性には形状によらない要因が含まれていることが推測された。この結果を次の研究項目とし基盤Bの研究へと続く新たな研究提案を行った。
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AES Convention146th
巻: 10160 ページ: 1-6
Audio Engineering Society
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https://doi.org/10.17743/jaes.2018.0014