研究課題/領域番号 |
16K00219
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
林 勇吾 立命館大学, 総合心理学部, 准教授 (60437085)
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研究分担者 |
黄 宏軒 立命館大学, 情報理工学部, 准教授 (00572950)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 協同学習 / 学習支援システム / 対話エージェント / リフレクション |
研究実績の概要 |
本研究では,学習者ペアが新たな知識を創り出す知識統合活動に着目し,対話エージェントを用いて自己モニタリングを支援する方法について検討する.本研究の目的は,学習者から表出されるマルチモーダル情報を用いてコミュニケーションや感情状態を判断し,その情報をもとにファシリテーションを行う学習システムの開発を行うことである.今年度の目的は,学習者ペアの発話や視線,表情をもとに学習者の状態を特定する「ピアラーニングモデル」を構築することであった.そこで,学習者ペアがある基礎概念の知識について話し合いながら知識統合活動を行う場面に関する実験室実験を行った.学習者が話し合いを進める中でどのような言語・非言語情報を用いているのかに関するデータの収集を行い,課題遂行のパフォーマンスの促進に関連する要因に関する検討を行った.また,学習者が話し合いを行う際には,対話エージェントを用いて自己モニタリングを促すファシリテーションを提示するインタフェースのデザインについての検討も行い,マルチモーダルな情報利用が協同による学習活動の促進に対して効果的であることが明らかになった.さらにこれらの検討を通じて,学習者の状態を理解する際に発話プロトコルや視線情報の利用が有効であることが確認された.そして,これらをペアレベルでモデル化することによって協同学習をモニタリングするエージェントの開発に有益な知見を提供することが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の目標であった,学習者のインタラクションの分析を通じたピアラーニングモデルに関する検討を行うことができた.実験室実験により得られたデータから,学習者のマルチモーダル情報を活用することが有効であることが明らかになったが,エージェントに実装するためのモデル化に関しては今後の課題といえる.
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今後の研究の推進方策 |
今年度に得られた各種の実験データから,エージェントへの実装に向けてピアラーニングモデルの構築を進めていく.さらに,協同学習時の学習者のリフレクションを促進させるためのファシリテーションメソッドの提案も行っていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
発生した次年度使用額は,分担者の予算分である.実験実施のための備品に使用する予定であったが,代表者の機材を使用したため予算が残った次第である.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度も引き続き実験を行う予定であるため,その予算を利用して備品を購入する予定である.
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