最終年度の目標は,マルチモーダル情報を活用した協同活動のリフレクションの有用性を実験的に検討することであった.今年度は予定されていた学習者の視線や感情状態を模倣するエージェントの構築に向けては,協同学習時の視線情報の共有やそのモデル化に向けた検討が必要不可欠であった.特に学習者に対して視線情報を用いたリフレクションを提示する際には,その情報を積極的に利用してインタラクションを行うのかどうかを検討することは重要であるといえる.そこで検討に際して,協同相手である学習者の注視情報の再提示によって学習者同士のコミュニケーションが促進されるのかを協同相手の視線情報をリアルタイムでフィードバックする手法を用いて検討した.その結果,視線情報のリアルタイムによるフィードバックは,協同学習プロセスや課題達成のパフォーマンスに対して促進的な役割を果たしていることが明らかになった.この成果は,The 14th International Conference on Intelligent Tutoring Systems(ITS2018)にて,フルペーパーで採択され,Best Full Paper Awardを受賞した.また,前年度から継続して検討を進めていた学習者の視線情報と言語情報を計算機上でモデル化する検討について,さらに詳細なデータ解析を行い,その研究成果を公表するために査読付学術雑誌論文に投稿した.
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