研究課題/領域番号 |
16K00228
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
手塚 太郎 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (40423016)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 画像解析 / 行列分解 / 特徴量抽出 |
研究実績の概要 |
行列分解による画像特徴量抽出の研究を進めた。具体的には神経科学の実験において近年欠かせないツールとなっているカルシウムイメージングによって得られた動画に対し、非負定値行列分解を行うことで低次元の特徴量ベクトルを求め、それを用いてカルシウムイベントを検出するシステムの開発を進めた。 マウスにおける光遺伝学実験に取り組む研究室から提供を受けたカルシウムイメージング動画データに対し、実装されたシステムを用いて時間的・空間的に繰り返されるパターンを検出した。それらの多くは神経細胞の発火に伴うシナプスにおけるカルシウムの放出、すなわちカルシウムイベントとみなせるため、得られたパターンの集合からスパイク系列の推定を行い、妥当な結果が得られているかを評価した。 行列分解によって得られる低次元表現ベクトルはパターンに相当するが、それらの形状を分析し、生物学的に意味のある結果が得られているかどうかの検証を行った。また、画像に現れる要素をノードとして構成されるシーングラフを意味構造に基づいて生成する研究を進めた。さらにグラフ構造を深層学習によって解析するGraph Neural Network (GNN) やEncoder-Decoderの研究に取り組んだ。 複雑なモデルを用いた機械学習手法によって得られるパラメータは往々にして解釈が困難である。本研究によって得られた結果を生物学の研究者等、ドメイン専門家にとってさらに有益なものとするため、解釈可能モデルの研究を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
画像特徴量抽出についての実装に取り組めている。神経科学研究において重要な役割を果たすカルシウムイメージング画像から行列分解によって特徴量を抽出するシステムを構築している。実装は実践的な応用に直結するものであり、大きなインパクトが期待される研究に繋がっている。
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今後の研究の推進方策 |
行列分解による画像特徴量抽出の実装を完成させる。実験結果を論文としてまとめ、論文誌や国際会議に積極的に発表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果を発表する際の英文添削費用ならびに論文掲載料としての使用を計画しているが、本年度は論文が完成せず、次年度に持ち越されたため。
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