研究課題/領域番号 |
16K00239
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
栗田 多喜夫 広島大学, 工学研究科, 教授 (10356941)
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研究分担者 |
日高 章理 東京電機大学, 理工学部, 准教授 (70553519)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 画像認識 / 機械学習 / 人工知能 / 深層学習 |
研究実績の概要 |
深層学習(Deep Learning),特に,Deep Convolutional Neural Network (DCNN)を用いることで画像認識の性能が飛躍的に向上した.その性能や適応領域をさらに拡大するために,ニューラルネットワークに関する学習法に関する知見や脳の視覚情報処理に関する知見を取り入れた画像認識の研究を発展させ,深層学習を用いた画像認識等の応用の拡大を目指す.本年度は,文脈情報を利用した中間表現の獲得に関する研究の基礎として,深層学習の中間層の出力をスパースにするような制約を導入することで汎化性能の良いモデルが獲得できることを示した.また,Autoencoderを付加した多層パーセプトロンの中間層にノイズを付加することで汎化性能が向上することを示した.画像認識のために意味的な情報を付加する手法として,画像のアノテーション課題での不正確・不十分な教師ラベルでも学習可能とするため,ラベル間の共起情報を制約条件として取り入れる手法を開発した.また,Wikipediaの文書情報からword2vecを用いて単語の分散表現を獲得し,ラベル間の近さの情報を制約条件として利用する手法を開発し,画像のアノテーション課題に適用した.その他,応用として,形状情報と動き情報を適応的に統合する動作認識手法や動画像中の対象の検出結果を利用した動画像の内容を認識する手法等を提案した.特に,,Wikipediaの文書情報からword2vecを用いて単語の分散表現を獲得し,ラベル間の近さの情報を制約条件として利用する手法は,国際会議IW-FCV2018において,Best Student Paper Awardを受賞した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度は,第1次視覚野での特徴抽出フィルタがスパース性を導入することで再現できるという先行研究をDCNNに取り入れて,学習の最適化関数にネットワークの各層の出力をスパースにする正則化項を導入する手法の有効性を確認した.また,今年度に予定していた,Autoencoderを付加した多層パーセプトロンの中間層にノイズを付加する手法について,汎化性能が向上することを確認した.さらに,研究計画では予定していなかった不正確・不十分な教師ラベルでの学習法についても検討し,ラベル間の共起情報やWikipediaの文書情報からword2vecを用いて単語の分散表現を利用して,ラベル間の近さをLaplacian正則化項として導入する手法を提案した.その他,平成32年度の研究計画で予定していた文脈に応じて複数の識別器を切り替える手法を開発し,動作認識課題を用いてその有効性を確認した.その他,動画像中の対象の検出結果を利用して動画像の内容を認識する手法について検討した.
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今後の研究の推進方策 |
予定していた研究課題の内,auto-encoderと識別器を統合したニューラルネットの学習アルゴリズムの開発については,Autoencoderを付加した多層パーセプトロンの中間層にノイズを付加することで汎化性能が向上することを示した.また,深層学習の中間層の出力をスパースにするような制約を導入することで汎化性能の良いモデルが獲得できることも示した.これらは,ほぼ研究計画通りである.本年度は,研究計画では予定していなかった不正確・不十分な教師ラベルでの学習法についても検討した.平成30年度は,画像や動画像中の対象やその配置等の詳細な文脈情報を利用した認識手法等の開発に取り組む.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 国際会議(ICIAR2017)の参加費,旅費の支出を予定していたが,他の予算で支出した. (使用計画) 国際会議(ICPR2018)の参加費,旅費として使用する予定である.
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