研究課題/領域番号 |
16K00240
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
末竹 規哲 山口大学, 創成科学研究科, 教授 (80334051)
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研究分担者 |
内野 英治 山口大学, 創成科学研究科, 教授 (30168710)
田向 権 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 准教授 (90432955)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 高齢者視覚変化モデル / 画像・映像強調アルゴリズム |
研究実績の概要 |
本研究課題では,まず,高齢者視覚の新たなモデルを構築し,構築モデルに基づき新たに画像・映像強調問題を定式化し,その問題に対して種々の最適化手法を援用することで,精密さを若干犠牲にしたとしても,高速な解法アルゴリズム(画像・映像強調アルゴリズム)を実現する.更に,システムの実用化を念頭に置き,ハードウェアシステムを構築し,画像・映像強調システムの実時間処理化を図る.最終的には,高齢者を被験者とした画質に関する官能実験や処理速度の定量評価等を行い,構築システムの実応用性を検証する.
研究は,主にアルゴリズム開発とその検証を行うソフトウェアグループと,主にハードウェア設計・開発を行うハードウェアグループの2グループ体制で行っている.グループ内では,1ヶ月に一度程度の頻度で会議を開き,進捗状況報告,研究ディスカッションを行い,グループ間では,3 ヶ月に一度程度の頻度で進捗状況報告,情報交換等を行った.平成28年度は,ソフトウェアグループでは,高齢者の視覚特性変化に対応した画像・映像強調基本アルゴリズムの開発に注力した.具体的には,高齢者視覚特性の既存の数理モデルを利用した高齢者視覚シミュレーション結果画像において隣接する画素間の色差が,入力画像・映像におけるそれと極力等しくなるように,コスト関数及び最適化問題を定義し,それを解くことで画像・映像の強調を行う基本アルゴリズムを提案した.ハードウェアグループでは,画像・映像強調ハードウェアの基本設計を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度中に,高齢者の「瞳孔面積縮小」,「水晶体濁り」に関する数理モデルに加え,空間フィルタで模擬した「焦点調節能力劣化」,「空間周波数感度劣化」特性をも含めた新たな高齢者視覚の数理モデルを構築する予定であったが,「焦点調節能力劣化」と「空間周波数感度劣化」特性をモデルへ取り組むには至っていない.この両特性の数理モデル化に関して現在検討中である.
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今後の研究の推進方策 |
研究の進捗が遅れた場合に予定していた4か月程度の予備期間を利用して,高齢者視覚特性の数理モデルの構築とそれを応用した画像・映像強調の基本アルゴリズムの開発を急ぐことを計画している.また,アルゴリズム開発の進捗状況に応じて,ハードウェアグループと密な連絡を取りながら,研究を推進していきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究における若干の遅れに起因して,機器の購入時期がずれたことが等が理由である.
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次年度使用額の使用計画 |
研究を加速させて遅れを取り戻し,H28年度に予定していた機器購入をH29年度使用計画に組み込み,予算の効果的な執行を行う.
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