研究課題
本研究「高次元非線形ダイナミクスを用いた新しい音声情報処理機構の構築」では、レザバー計算を基に、聴覚データを想定した多次元時系列データに適用可能なモデリング原理の確立に取り組んだ。平成30年度はモデルを多面的に発展させ、音声に限らず様々な実データを用いた性能評価を行った。レザバー計算と予測符号化を組み合わせた動的予測符号化のネットワークモデルについては階層的なネットワークに拡張した。2層のネットワークのうち、低次層のネットワークでは入力時系列の再構成を行い、高次層では低次層の予測誤差・時系列の特徴量を予測するネットワークを構築した。音響データを用いて、その性能評価を行い、音響時系列データの階層的な構造を抽出することに成功した。またこのモデルを視覚系の情報処理モデルとして応用し、運動残効など動きが関わる視覚系の認知現象機序を説明する数理モデルを構築した。またモデルの構成素子の動力学特性について、振動子モデル(Stuart-Landau振動子)を導入し、その特性を解析し、特に振動性が強い時系列データのモデリングについて有効性を確認することができた。さらに時系列の予測誤差に基づいて駆動されるネットワークを多チャンネルで記録される脳波データの解析に応用した。提案手法により被験者の瞬きや感覚刺激についての情報を脳波から抽出することが出来た。また提案モデルが様々なセンサー情報の処理やロボット制御へ応用出来る可能性を見いだし、ロボットシミュレータの環境を構築した上で、ロボット制御・状態推定に非線形ダイナミクスを活用する数理モデルを構築した。
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Journal of Robotics, Networking and Artificial Life
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2019 International Joint Conference on Neural Network (IJCNN2019)