研究課題/領域番号 |
16K00249
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
浜本 隆之 東京理科大学, 工学部電気工学科, 教授 (10297624)
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研究分担者 |
杉村 大輔 東京理科大学, 工学部電気工学科, 助教 (10712052)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | イメージセンサ / 再構成処理 / 高ダイナミックレンジ |
研究実績の概要 |
(1)高ダイナミックレンジ化を目指した最適な露光パラメータの検討:2×2画素ブロックを単位とする場合は、単位ブロック内の4つの画素位置の露光パラメータを調整することになる。変更するパラメータとしては、露光時間長、位相、フレームレートがあるため、目的に応じて適切に設定する必要がある。本年度は、このパラメータの設定方法についていくつかのパターンを検討した。特に、空間解像度を大きく劣化することなく、ダイナミックレンジの拡大を目指す設定について検討した。 (2)高ダイナミックレンジ画像の再構成処理方式の検討:露光パラメータを適切に設定した画像信号に対して、再構成処理をする手法について検討した。カメラを動かしながら撮像することを模擬した映像を合成し、その合成画像を用いたシミュレーション等により評価実験を行った。また、以前に試作した標準プロセスによるイメージセンサを用いて、簡単な実装実験を行い、被写体の状況に合わせて撮像パラメータを調整する方式について検討した。主に、静的領域では白飛びや黒つぶれのない露光時間、動的領域では動きぼけのない露光時間を選択することで、良好な映像を取得できることが分かった。 (3)基本回路のテスト用LSIの設計:新たにイメージセンサ用プロセスを利用して、撮像の基本機能のみを有するイメージセンサチップを設計した。画素回路内にフローティングディフュージョンを有する構成であり、画素情報のリセットノイズを削減できる機能を実装できる。現在、評価用のボードを設計している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高ダイナミックレンジ拡大を目的とした撮像方式の検討については、概ね計画通りに進んでいる。被写体の明るさや動きに応じて、適応的に設定する方式について引き続き検討している。今後も、その他の撮像性能とのバランスを取りながら、最適な露光パラメータの設定方式について検討を進める予定である。新たなイメージセンサ用プロセスを用いて、フローティングディフュージョンを有する画素回路によるイメージセンサを設計し、製造が終了している。現在、その評価用ボードの設計をしており、終了後に撮像性能の評価等を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、二つ以上の露光パラメータを画素ごとに変えた際の撮像手法と、その画像信号を再構成する手法について検討する。空間解像度、時間解像度、ダイナミックレンジのそれぞれを重視する手法や、その二つ以上を同時に改善する手法など、いくつかを検討した上で、その性能限界を明らかにする。また、低ノイズ化を図るために波長情報を拡張し、可視カラー情報に加えて不可視情報を活用できないか検討する。 さらに、前年度に試作したテスト用LSIの評価結果を踏まえて、単位ブロック内で露光パラメータ制御が可能な機能を有する新しいイメージセンサLSIの設計について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度のLSI試作費用が大きくなる見込みのため、本年度のテスト用LSIの試作材料費を校費から支出したからである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に新たなLSIを試作する際に、その試作費やボード設計の費用のため適切に活用する予定である。
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