研究課題/領域番号 |
16K00251
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
新田 恒雄 早稲田大学, グリーン・コンピューティング・システム研究機構, その他(招聘研究員) (70314101)
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研究分担者 |
入部 百合絵 愛知県立大学, 情報科学部, 准教授 (40397500)
桂田 浩一 東京理科大学, 理工学部情報科学科, 准教授 (80324490)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | DNN / 汎関数 / 双対空間 / テンソル空間 / 圏論 / 脳波信号解析 / 線形予測分析 |
研究実績の概要 |
Deep Neural Network(DNN)によりデータの持つ本質的な構造を漸近的に求めることができるようになった。一方,脳波解析のように,DNNに必要なビッグデータ を用意できない分野も少なくないため,適度な量のデータから内部構造の解析を進めることを可能にする新しい計算モデルの開発は大変有用であろう。DNNと同 様のベクトル-ベクトル変換は,汎関数(functional)を用いる双対空間,あるいは多重線形写像(Multiple linear mapping; MLM)を用いるテンソル空間で可能で あると考えた。 近年,合成写像に基づくベクトル-ベクトル変換を実現する手法として,圏論(category theory)と呼ばれる新しい数学の枠組みが発展しつある。一方,圏論は データ処理全体の鳥瞰図を与えるが,写像を引き起こす具体的な機能(関手functor)は,個々の応用分野に任される。我々は,多チャンネル脳波(EEG信号)の解析 に的を絞って分析手法,特徴抽出手法,音節分類手法の研究を進めている。 脳波解析では雑音下における微小信号を対象とするため,昨年度の雑音除去手法に続いて,今年度はEEG信号解析に特化した線形予測分析(Linear predictive analysis; LPA)を考案し種々のパラメータ最適化を通して,高精度にスペクトル分析を行う手法を開発した。この手法を多チャンネルEEG信号に適用し,続いて逆フィルタ計算により得たスペクトル系列に対して主成分分析(PCA)を行い,固有ベクトルを求めて汎関数f(φ (k,m)),(クラス番号k,固有ベクトル軸数m)を構成することで,EEG信号が持つ準備電位(Readiness potential;RP)と事象関連電位(Event related potential; ERP)の構造を解析した。これら一連の解析により,RPとERPが持つ言語情報が明確になりつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多チャンネル脳波(EEG)信号解析に線形予測分析(LPA)の手法を導入すると共に,合成写像に基づく特徴抽出を考案して有効性を実験から確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
脳波(EEG)信号から言語音声情報を抽出し,言語想起の結果を取り出す数理モデルを開発してシミュレーション実験を行う。前年度に開発した線形予測分析(LPA)を適用し,ベクトル圏およびテンソル圏における合成写像の改良を通して,脳波-言語デコーディングでの有効性を示す。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 脳波(EEG)データの収集計画を前倒して実施する必要が生じたことによる。 (使用計画) 脳波データを収集可能な豊橋技術科学大学へ出張した。これらのデータを活用することで,研究を加速することができる。
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