研究課題/領域番号 |
16K00268
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
野嶋 琢也 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (10392870)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 物理メディア / 触覚インタラクション / 形状記憶合金 |
研究実績の概要 |
物理メディアとは,単純な動作をする一つまたは多数の実体(可動実体)の運動制御によるメディアである.可動実体の表面素材や配置・動作パターンに応じて,視覚的・触覚的に多様な表現が可能と期待されるが,既存可動実体に物理的制約が多く,その実現・利用は容易ではない.一方研究代表者の提案する新型可動実体Smart Hair(SH)は,従来の可動実体と比較して物理的制約が少なく,物理メディアの表現多様化に貢献すると期待される.本研究ではこのSHを軸として,物理メディアのための可動実体に関する基礎技術を確立するとともに,それによる情報表現基盤技術の確立を狙う. 本年度はまずSHの構成要素・条件による,可動実体としての運動能力への影響を明らかにした.SHは複数の形状記憶合金の組み合わせにより構成されており,その直径・長さと,駆動時の形状・発揮力に関する章第データを測定した.そしてそのデータに基づき,SHの動作シミュレータを開発した.同シミュレータではSHの屈曲動作に対して,先端位置誤差5mm程度での予測が可能となった. つづいて高解像度の物理メディア開発にむけて,SHの小型化に取り組んだ.従来のSHが6×6mm程度であったのにたいし,制作手法を全面的に見直すことにより,5×3mm程度のサイズのSH開発に成功した. また物理メディアとしての表現能力を検証するため,まずその視覚的表現要素に関して,複数の運動パターンとその違いから来る印象の差について比較検証を行った.その結果,特定の運動パターンを通じて「軟らかい」「喜んでいる」といった印象を与えうることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書において平成28年度の目標としては,SmartHairの基礎能力評価・モデル化・シミュレータ開発,そして小型化,およびSHを用いた動作を通じた印象評価の3点を掲げていた.現在までの進捗としてはこれらの点をほぼ遂行できており,当初計画通りの進捗であると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策として,まず継続してSmartHair(SH)の基盤技術高度化を行う.具体的にはSHの小型化,ならびに高解像度物理メディア実装を行い,高解像度状態で発生しうる課題抽出を行う. また,表現の側面に関しては,まず視覚的要素に関して,SHをロボットや衣服などに搭載し,それによる表現特性に関する評価検証を実施する. 将来的にはSHの触覚的側面に着目し,触覚メディアとしての特性評価検証を行っていく.
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