研究課題/領域番号 |
16K00270
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
郷 健太郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (50282009)
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研究分担者 |
木下 雄一朗 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (70452133)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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キーワード | 文字入力 / スマートウォッチ / スマートフォン / ジェスチャ入力 / EdgeWrite |
研究実績の概要 |
本研究では,状況によって誘発される機能障害時に有効な文字入力手法を提案する.具体的には,1.小型タッチスクリーンで,2.片手操作,しかも視認できない状態を想定し,3.周囲から目立たないという特長をもつ文字入力手法を実現する.本手法の実現のために日本語カタカナEdgeWriteの拡張版を提案する.具体的には,丸型フェイスのスマートウォッチを実装環境とし,ここで視認せずにEdgeWrite入力を行う. 平成29年度には2つのプロジェクトを遂行した.まず,状況によって誘発される機能障害の特性を明らかにするために,スマートウォッチ上での異なる手の姿勢における,なぞり操作時の振る舞いを,集中的に調査した.具体的には,4つの手の姿勢と入力手法(1.支持なしでの人差し指入力,2.親指支持での人差し指入力,3.親指+中指支持での人差し指入力,4.人差し指支持での親指入力)に対して,丸型スマートウォッチの縁なぞり操作がどのような特徴をもつのか,実験により評価を行った.この結果,親指支持での人差し指入力が,入力速度と作業負荷の点で,他の手法よりも優れていることが明らかになった.またこの手法では,丸型スマートウォッチの円形の縁全体を使用するよりは,弧の一部と画面を横断する直線から構成されたD型の経路を使用する方が,安定して入力可能だと明らかになった. 次に,ユーザへのフィードバック問題に着手した.フィードバックの実現手段として,音声フィードバックを候補に挙げ,丸型スマートウォッチでの縁なぞり入力に対して,入力された文字を音声でフィードバックするシステムを開発した.このシステムを開発するにあたって予備調査を行ったところ,入力ジェスチャ形状がユーザの入力姿勢によって回転するといった,新たな課題が明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度には,状況によって誘発される機能障害の特性を明らかにするために,スマートウォッチ上での異なる手の姿勢における,なぞり操作時の振る舞いを,集中的に調査した.この研究成果を,国際会議ACM the 16th International Conference on Mobile and Ubiquitous Multimedia (MUM '17) にて発表した.また,研究の成果の一部は,電子情報通信学会東京支部学生会奨励賞を受賞した.以上から,おおむね順調に進展していると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終年度である平成30年度には,これまでに開発したシステムの精緻化を進め,これらのシステムを評価して,評価結果に応じた再設計・開発を行う. まず,文字入力手法の基本機能を支える認識アルゴリズムとして,これまでに実装してきたニューラルネットワーク以外に,テンプレートマッチング式の $1 Unistroke Recognizer (Wobbrock, 2003) を用いる.本アルゴリズムをスマートウォッチ用に実装して使用することによって,ユーザ自身が簡単にその場でジェスチャを生成することを可能にする.また,操作画面を直接視認しない,いわゆるアイズフリー状態でのフィードバックとして,平成29年度には音声フィードバックを実装した.この機能をもとに,入力文字の認識結果に対する選択肢が複数ある場合での,スマートウォッチに適した選択操作を実装する. 以上の過程を経て,状況によって誘発される機能障害時に有効な文字入力手法を実現する.
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定だった物品等について,単価の安いオンラインショップを使用するといった工夫をすることによって,当初の見積もりよりも安価に入手することができたため次年度使用額が生じた.繰越金額については実験評価者の増員に使用する予定である.
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