実世界に根ざした知識を得るためには,机上での学びにとどまらず,実世界の中で行動を通して学ぶ実世界学習が重要である.本研究課題は,このような実世界学習において,その「学び方」を学習させるための学習分析方法論(learning analytics)を開発するものである.このことを踏まえ,平成30年度は,以下の研究を行ったことを報告する. (1)状況論的知能の計算論的理解のための構成・実践型研究手法の開発 (2)会話場が持つ文脈的行動生成構造のモデル化・評価に関する研究 (3)実世界学習行動の意味情報の推定のための計算論的アナリティクスの開発
平成30年度は,これまでの開発技術を発展させて,実際の実験における評価に応用することによって,「実世界における学び方」の学習のための学習分析方法論の有効性を検証した.具体的には,これまでの開発技術および構成的・実践的な研究メソドロジーを,京都大学フィールド科学教育研究センター里域ステーション上賀茂試験地において一般被験者(30名;男女;成人)を対象として実践した.そして,人の知能発現状況に関して生態学的妥当性を有する実験環境において,学び方の学習の形成的プロセスを評価した.さらには,実世界学習行動の意味情報をマルチモーダル・ウェアラブルセンサのデータから推定し,「実世界における学び方」を計算論的に理解する研究を実施した.なお,これらの研究活動に関する成果について,学会での発表を行い,研究成果を公開した.
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