研究課題/領域番号 |
16K00272
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大城 理 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (90252832)
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研究分担者 |
黒田 嘉宏 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (30402837)
吉元 俊輔 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00646755)
浦西 友樹 大阪大学, サイバーメディアセンター, 准教授 (00533738)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 複合現実感 / 電子式鏡像法 / 複空間 / ヒューマンインタフェース / インタラクション |
研究実績の概要 |
当該研究の当該年度では,形状,および,表面情報.すなわち,テクスチャを,同時に計測することが可能な実物体情報計測に関する開発を行った.それと並行して,計測した実物体とコンピュータグラフィックスを融合することが可能な立体映像生成に関する開発も行った.具体的には,以下に記す 1, 2 の項目に関する研究を遂行した. 1. 実物体情報計測: 実物体の映像情報をコンピュータに取り込むため際に,その形状だけでなく,その表面情報,すなわち,テクスチャをも同時に計測することが可能な実物体情報計測技術を確立した.ところで,単眼カメラを用いると,三次元,特に,奥行き情報が消失してしまう.当該研究では,Lytro に代表されるような多眼デジタルカメラや,Kinect に代表されるような距離センサカメラ等を用いることで,形状,位置,さらには,テクスチャをも同時計測することが可能となった. 2. 立体映像生成: 距離センサカメラでは,深い被写界で,テクスチャ (表面情報),および,形状を撮影することが可能となった.また,多眼デジタルカメラで得られる情報を活用して,被写界深度をアクティブにコントロールすることを可能にした.これらの情報を統合して,かつ,専用のメガネが不要である裸眼立体視ディスプレイを活用して,立体表示するプロトコルを確立した.この際,単一のユーザが広い範囲で,すなわち,様々な場所から立体映像を閲覧することを可能にしたり,複数のユーザが立体映像を閲覧することもできるようにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究では,実物体情報計測,立体映像生成,電子式鏡像生成,実時間システム構築等を実践することで,実物体と仮想物体とを融合することが可能な複空間を構築し,鏡を見る感覚で,実物体で仮想空間が拡張される世界を体感することができるようにすることを目論む計画を立案した.平成 28 年度では,前者二つの技術 (実物体情報計測,立体映像生成) を構築しつつあるので,進捗はおおむね順調に進展していると思われる. さらなる研究展開において,想定外の困難に遭遇する可能性があるが,研究代表者・分担者だけでなく,大学院生等とも連携して,課題を打破する予定である.また,研究代表者・分担者と繋がりの深い国内外の著名な研究者に助言を求めることで,課題を克服することも試みる予定である.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は下記の二つである. まず,視点,視線方向によって,ディスプレイ上に描画する映像のピントが制御可能である電子式鏡像生成に関する研究,具体的には,カメラで計測した実物体と計算機が描画した仮想物体が共存するシステムを構築する.その際,手前に在る物体が奥に在る物体を隠蔽するようなレンダリング,両物体間に前後関係があっても光学的透過性を有するシチュエーションにおける散乱,屈折等を考慮したレンダリングを施す.また,ユーザの視線上に存在する実物体,あるいは,仮想物体に焦点を合わせ,それ以外の物体をボケさせるようなレンダリングをも施す. 次に,素早く動く物体にも対応可能になるような実時間システム構築を行う,当該システムで実行の律速となるのは,実物体,および,仮想物体の精細描画,実物体 / 仮想物体内での散乱 / 屈折現象の計算,多眼デジタルカメラからのデータ処理等の過程であると考えられる.これらの過程を高速に実行するために,専用のハードウェア,ソフトウェアを準備する.具体的には,GPU に依存した描画プログラムを作成したり,GPUを用いた演算等を試みたり,高速演算に適したコンパイラを用いてプログラムの生成を行う.なお,当該研究はヒューマンインタフェイスの一面を有するため,システム構築後には被験者実験をも行い,その定性的な評価を元に,システム改善へのフィードバックを施す.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成 29 年度では,視点,視線方向によって,ディスプレイ上に描画する映像のピントが制御可能である電子式鏡像生成に関する研究,具体的には,カメラで計測した実物体と計算機が描画した仮想物体が共存する本システムを構築する予定である.その際,(1) 実物体と仮想物体の前後関係,(2) 実物体,あるいは,仮想物体の透明度,(3) 実物体,あるいは,仮想物体のボケ度等を鑑みたレンダリング技術を開発するため,多くの予算が必要となるため.
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次年度使用額の使用計画 |
研究代表者・分担者だけでなく,大学院生も連携して,多機能レンダリングプログラム開発を行う.そのため,謝金等を準備する.また,平成 30 年度に構築予定のシステムの実時間性も視野に入れ,最適のコンパイラ,ライブラリの購入も予定している.
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