研究課題/領域番号 |
16K00278
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
石井 裕 岡山県立大学, 情報工学部, 准教授 (30372642)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ヒューマンインタフェース / アバタコミュニケーション / インタラクション支援 |
研究実績の概要 |
人は話者同士の空間的距離,立場などの心理的距離といった関係性を構築し,共有することで円滑なコミュニケーションを行っている.これまでに,仮想空間上に音声駆動型身体引き込みCG キャラクタInterActor を配置し,聞き手のうなずきや音声相槌による発話促進の有効性を示してきた.一方で,静まり返った部屋で対話相手だけで話すより,喫茶店のような,同一空間に存在しつつも互いに干渉にしない非参与者が存在する環境の方が話しやすい場合がある.参与者として,話し手,受け手,傍参与者に加え,会話への参与を承認されていない傍観者,盗み聞き者を含んでいるが,本研究において非参与者として,話し手の発話を傍受せず,話し手からその存在に気付かれているものとして定義し,複数の人型キャラクタを非参与者として用いて生成するシステムを開発した.開発したシステムを用いて,非参与者によって生成される雑音環境下で,聞き手となる人型キャラクタのうなずきと音声相槌の効果を検討した. 実験参加者24名(18~22歳の男女学生)を対象とした語りかけ実験の結果,一対比較及び7段階評価による官能評価の結果,非参与者が存在するモードが高く評価された.対話相手だけでなく非参与者としてのキャラクタを配置し,対話しやすいコミュニケーション場を生成するシステムの有効性が示された.一方で自由記述で「周りの雑音が気になって話しにくかった」との記述もあり,本システムの雑音環境は対面コミュニケーションの発話促進効果が得られるが,相談ごとや悩みごとなど,発話内容によっては雑音環境を不必要に感じられる可能性も指摘されており,詳細な検討が必要である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自己参照アバタを介して,講演者の視線に応じて観客キャラクタが積極的に傾聴し,コミュニケーション効果を高めるシステム開発を進めており,また音声駆動型身体引き込みキャラクタによる対話エージェントの開発によって,会話意欲を促進する効果を示すなど,新たな効果が確認されており,概ね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
相手と自己以外のキャラクタとして,非参与者としてのキャラクタを配置したコミュニケーション場において,コミュニケーション効果を高めるシステム開発を進めており,また音声駆動型身体引き込みキャラクタによる対話エージェントの開発によって,会話意欲を促進する効果を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度参加予定であった国際会議が開催時期変更により参加できなくなり,次年度の学会参加に対して予算使用を予定している.
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