研究課題/領域番号 |
16K00279
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
馬場 雅志 広島市立大学, 情報科学研究科, 講師 (30281281)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ライトフィールド / イメージベーストレンダリング / イメージベーストライティング / 全方位カメラ |
研究実績の概要 |
ライトフィールド(光線空間)とは、実シーン中を飛び交う光線情報のことである。近年では、撮影後のピント合わせ(リフォーカス)を行うことができるライトフィールドカメラが一般消費者向けに発売されて注目を集めている。一方、研究段階では、多数のカメラをアレイ状に配置するものや、通常のレンズと撮像素子の間にマイクロレンズアレイを配置したもの、鏡面球を利用したものなど多数のライトフィールドカメラが提案されている。しかし、これらのライトフィールドを用いた画像生成の対象は実物体であり、CGとの合成についてはほとんど議論されていない。本研究では、実シーンのライトフィールドとCGの仮想物体との合成に関する研究を行う。 平成28年度は、ライトフィールドの取得に関する研究と実シーンのライトフィールドを光源としてCG合成する研究を行った。 ライトフィールドの取得に関しては、安価な全方位カメラを用いて複数の位置で撮影を行い、撮影画像からライトフィールドの構築、および取得したライトフィールドからの画像生成を行うことができた。このとき、通常のライトフィールドレンダリングでは2つの平面を用いた4パラメータ表現を行うが、今回は球面状のライトフィールドの表現を行うことで全方位画像に対応した。 実シーンのライトフィールドを光源としてCG合成する研究においては、安価な全方位カメラで撮影した画像から太陽と太陽周辺の天空を放射基底関数の和で表現する手法を開発した。これまでに行ってきた太陽を1つの平行光源として近似する手法では、太陽の影の境界領域でのなだらかな明度変化が表現できていなかったが、提案した手法ではこのような現象が再現できている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画においては、平成28年度に(1)実シーンのライトフィールドと仮想物体をCG合成するイメージベーストレンダリングに関する研究を行い、平成29年度以降に(2)実シーンのライトフィールドを光源と考えたフォトリアルなCG合成に関する研究、(3)実シーンのライトフィールドを効率的に取得するためのキャプチャリング手法の開発、を行う予定であった。 平成28年度には、これまでに行っていた先行研究との関連から(2)をまず行い、同時に(3)を実施した。そのため、当初の計画とは異なっているが、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度には、引き続き(2)実シーンのライトフィールドを光源と考えたフォトリアルなCG合成に関する研究と(3)実シーンのライトフィールドを効率的に取得するためのキャプチャリング手法の開発を行い、これらに関しては成果を外部発表する予定である。 また、同時に(1)実シーンのライトフィールドと仮想物体をCG合成するイメージベーストレンダリングに関する研究について研究を開始し、平行して複数のGPUを用いた並列処理による画像再構成の高速化などについても検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画で購入予定であった物品については、別予算での調達が可能となったのでそちらの予算を使用することにした。一方で、旅費とその他の経費が計画よりも必要となったので物品費から流用して使用した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度と同様に、旅費とその他の経費については不足が予測される。そのため、次年度使用額として生じた予算については、旅費とその他の経費において使用する予定である。
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