ライトフィールド(光線空間)とは、実シーン中を飛び交う光線情報のことである。本研究では、様々なライトフィールドカメラで撮影された実シーンのライトフィールドとCGの仮想物体を合成するための研究を行った。 本研究では、実シーンのライトフィールドを取得するために全方位カメラを使用した。まず、屋外の1地点で取得したライトフィールドを光源とみなしてフォトリアルなCG合成を行うイメージベーストライティングに関する研究を行った。晴天の屋外で撮影された画像は、太陽の輝度が非常に高く撮影時に輝度飽和を起こすため、太陽やその周辺の輝度を正確に取得することは難しい。そこで、太陽とその周辺の天空をそれぞれ放射基底関数で表現し、その関数に基づき輝度飽和のないHDR光源環境画像を作成する。そのHDR光源環境画像を用いてレンダリングし、実写画像中における太陽の影を忠実に再現できることを確認した。 次に、実シーンのライトフィールドとCGの仮想物体を合成するため、効率的なライトフィールドの取得に関する研究を行った。全方位カメラの位置を変えて撮影した複数の全方位画像から球面状のライトフィールドを構築し、撮影されていない任意視点での全方位画像を生成する手法を提案した。全方位画像を撮影したカメラの位置は、Shape from Motionを用いて復元した。撮影した全方位画像の各画素に対して、球の中心から各画素の方向に向かう光線を考え、光線と球との2交点を記憶しておくことにより、すべての撮影画像から1つの球面状ライトフィールドを構築した。画像生成時には、構築したライトフィールドから各画素方向の光線を取り出すことによって、任意視点での全方位画像の生成を行うことができた。
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